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安倍首相、1次政権を布石に憲法改正へ 通算日数1位

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11月20日で憲政史上最長の在任期間を迎えた安倍晋三首相は、令和3年9月までともう2年を切った自民党総裁任期の間に、どんな仕事に取り組むのか。重要な政治課題はいくつもあるが、その中でもこれから動きが本格化・活発化するのが憲法改正だといえる。

 

「拉致問題、北方領土問題、デフレ脱却…と任期中にやるべき課題はたくさんあるが、国内で完結するのは憲法改正だ」

 

安倍首相は周囲にこう語っている。拉致問題や北方領土問題は相手国の政治情勢や国内事情に左右される不確定要素が少なくない。デフレ脱却も世界経済の行方に大きく影響を受ける。

 

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その点、昭和30年の自民党結党以来の悲願である憲法改正は安倍首相と党が不退転の姿勢で取り組めば成し遂げられる可能性が高い。特に、自衛隊を憲法に明記する9条改正に関して首相は「旗を降ろすことはない」と明言する。

 

憲法学者の6割が憲法違反だと指摘し、共産党や社民党も違憲だと断じる自衛隊は現在、昭和29年に合憲だと解釈変更した政府の憲法解釈により存在を認められているにすぎない。一方で日本を取り巻く安全保障環境は年々厳しさを増し、自衛隊の存在意義はより大きくなっている。

 

安倍首相はその自衛隊を憲法に明示することで、日の当たる道を堂々と歩めるようにしなければならないと考えている。

 

「国民の命を守るため、日々汗を流している自衛隊がより誇りを持って任務を遂行できるように、違憲論争に終止符を打つ」

 

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安倍首相は10月18日、自民党の二階俊博幹事長が主導した和歌山市での憲法集会に、こんなビデオメッセージを送った。首相が第1次政権時の平成18年、防衛庁を「省」に昇格する関連法を成立させたときから継続して抱いてきた思いだ。憲法改正のための国民投票の手続きを定めた国民投票法も、第1次安倍政権で成立した。国民投票の利便性を現行の公職選挙法の内容にそろえる国民投票法改正案の成立に関しても、安倍首相は「今国会でやるしかない」と漏らしている。

 

日本とその諸制度を敗戦国の枠組みに閉じ込める「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げた1次政権時に打った布石を、今に生かす。そうして、自民党歴代政権が困難さゆえに放置してきた憲法改正を実現しようと試みているのだ。

 

「憲法改正のために必要であれば、そのときは衆院を解散する」

 

周囲にこう述べる安倍首相は今後、憲法改正の是非を国民に問うべき場面が到来したら、総選挙で信を問うことをためらわないだろう。首相の意向を受けて、ポスト安倍候補の一人である岸田文雄政調会長も改憲をテーマにした地方政調会を開くなど、党の推進役を担う姿勢を見せている。

 

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歴代最長となる長期安定政権を保ち、高い内閣支持率を維持し、かつ憲法改正に強い意欲を持つ安倍首相下でできなかったら、もう改憲の機会はそうは訪れはしないだろう。そのことも首相は自覚している。

 

安倍首相は月刊『文芸春秋』12月号での政治ジャーナリスト、田崎史郎氏のインタビューでドイツの社会学者、マックス・ウェーバーの著書『職業としての政治』を引用し、政治の世界で必要な要素として「それにもかかわらず」という精神を挙げている。原著は関連部分にこう記す。

 

「断じて挫(くじ)けない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への『天職』を持つ」

 

残る任期では、安倍首相のその覚悟が問われる。

 

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筆者:阿比留瑠比(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)

 

 

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