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新型コロナと戦うAI 肺炎診断から救命、創薬まで開発続々

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新型コロナウイルスの感染爆発という未曾有の危機に、人工知能(AI)が人類の強力な助っ人となりそうだ。人間より多くのデータを読み込んで瞬時に結論を導いたり、将来を予測したりできる特性を生かし、診断の支援や治療薬の候補探しに役立つAIの開発が急ピッチで進んでいる。

 

 

医療崩壊防げ

 

新型コロナの感染拡大は各国で医療体制を圧迫している。欧米ではベッドや医療物資の不足が深刻化しており、日本もこうした事態に陥ることが懸念される。

 

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医療崩壊を防ぐには、限られた人手と資源を適切に配分することが必要だ。患者を短期間で検査して診断を下すことが、適切な配分につながるが、PCR検査は実施できる設備が限られている上に、結果が出るまで時間がかかる。

 

中国のAI企業インファービジョンは、胸部のコンピューター断層撮影(CT)画像の診断を支援するAIに数千件の新型肺炎の症例を学習させ、新型肺炎の疑いが強い患者を数秒で検知できるようにした。

 

大量の画像から特徴や異変を見いだす画像認識はAIが最も得意とする分野だ。AIが示す情報を参考にして、医師は確定検査の実施や隔離、治療といった対応を効率的に行うことができる。同社によると、このAIは武漢など中国の複数の医療施設のほか、ローマでも導入されている。

 

もし医療資源が枯渇すれば、現場は患者ごとに治療の優先順位を決めるトリアージを迫られる可能性がある。武漢の研究チームは、新型コロナの感染患者の血液サンプルから生存率を予測するAIを開発した。

 

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血液中のリンパ球や酵素などの成分について、約400人の感染者のデータを学習させたところ、90%以上の精度で高リスク患者を発見することができたという。感染爆発時に医療現場の意思決定を支援すると期待される。

 

プライバシーへの配慮が必要だが、個人の行動軌跡と医療情報を組み合わせれば、どこで感染爆発が起きるか、どういった医療ケアのニーズが生じるかをAIで予測できるようになる可能性がある。

 

台湾のAI開発企業エイピアのチーフAIサイエンティスト、ミン・スン氏は「AIの予測を基にあらかじめ対応を計画できれば、経済的に大きなダメージを伴う長期的なロックダウン(都市封鎖)をしなくても感染拡大を抑えられるかもしれない」と指摘した。

 

 

ウイルスの変異を監視

 

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治療薬の早期開発にも、AIの果たす役割は大きい。米ニューヨークのベンチャー企業グラフェンは、世界中で報告されている新型コロナの全遺伝情報(ゲノム)を分析し、ウイルスがどこからどこへ広がり、少しずつ変異して亜種が生まれている様子を監視するAIを開発。ウイルスの進化を把握することは、製薬会社などが治療薬を開発するのに役立つとされる。

 

また、香港を拠点とするインシリコ・メディスンは同社が開発した創薬AIを使って、新型コロナ感染症の治療薬候補となる分子化合物を特定。世界中の研究者による開発を促進しようと、化合物の情報を無料公開している。

 

新型コロナに挑む世界中の医療従事者や研究者からは、すでに数万件の成果が論文などの形で発表されている。これら全てに目を通すことは人間には無理だが、AIは可能だ。大量の文献やデータの中に点在している知見をつなぎ合わせたり、重要な情報を抽出したりして、ウイルスと戦う新たな術を見つけようとする取り組みも始まっている。

 

新型コロナという危機の中で、医療分野でAIの実用化が飛躍的に進む可能性がある。スン氏は「AIは予防から診断、治療まであらゆる段階に貢献できる。AIの活用を政府が後押しすることが必要だ」と語った。

 

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筆者:松田麻希(産経新聞科学部)

 

 

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