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新幹線が自動運転 運転手の誇りはどうなる

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東海道新幹線の1日の運行本数は300本を超える。すべて定刻通りの運転が求められるのはもちろんだ。「許される誤差はプラスマイナス15秒。もっとも新大阪まで運転して10秒以上ずれることはめったにありませんが…」。作家の早田森さんの質問にこともなげに答えるのが、かつてJR東海現役最優秀運転士として表彰された木内辰也さんである。

 

木内さんは運転操作のタイミングを計るために、あっと言う間に後ろに飛び去っていく風景を情報として蓄積してきた。新横浜を出発してから名古屋手前の減速地点まで、ブレーキを使わないで運転できるというからすごい(『新幹線を運転する』)。

 

そんなプロの世界で起きた思いがけない騒動だった。東海道新幹線の運転士が今年5月、トイレを我慢できなくなり3分間席を離れた。その間、運転席に座った車掌が無資格だったとわかって、大問題となる。規定によれば、トラブルが発生した運転士は指令所に報告して指示を仰がなくてはならなかった。運転士の行動をめぐって、批判と擁護の声が飛び交ったものだ。

 

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新幹線の自動運転に取り組んでいるJR東日本は11月17日、営業用車両を使った実証実験を公開した。発車から加速し緩やかに停車するまで、運転士は両手を膝に置いたままだった。自動運転が実用化されれば、運転免許のあるなしにかかわらず、係員が緊急事態に備えていればいい。木内さんのような名人が運転席に座る必要はなくなる。

 

木内さんが制服姿で歩いていると、よく小さな子供が手を振ってくれる。若手運転士がそばにいると必ず口にする言葉がある。「こんな仕事はめったにない。新幹線運転士という仕事に誇りを持て」。

 

その誇りの行方が気になる。

 

 

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2021年11月19日付産経新聞【産経抄】を転載しています

 

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