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東京は香港に代わるアジアの金融ハブになれるかもしれない-だが、日本は準備ができて いるか?

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中国が導入した新しい「香港国家安全法」は、情勢を一変させるものだ。「悪意のある噂」を広めたり、香港への制裁を求めて外国政府へ働きかけを行ったりすることは思想犯罪とみなされ、それが世界のどこで犯されたかにかかわらず、終身刑に処される可能性がある。

 

香港の立法評議会メンバーで、IT業界を代表するチャールズ・モク氏の言葉を借りれば、「一国二制度は突如として失われ、香港は本当の意味で中国の一部になってしまった。」

 

英国と中国の間の合意は、「一国二制度」を1997年から向こう50年間は維持するというものだった。その間は「個人、言論、報道、集会、結社などの権利と自由」が法的に保護されることになっていた(p.62)。

 

中国はこれらの合意に違反している。だが、このあからさまな権力の奪取を覆すために、国際社会に何ができるのかは不明である。ボリス・ジョンソンが率いる英国政府は、300万人の香港市民(総人口の約40%)に対し、英国ビザの権利、または英国への移住権と市民権獲得の道を与えた。マイク・ポンペオ米国務長官は、香港が高度な自治権を有しているとする前提(今となっては疑わしいが)に基づく、米国の法律の下での香港貿易優遇措置を取り消すと警告した。

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いずれの措置も香港の衰退を加速させることになるだろう。HSBCのように香港に拠点を置く銀行は、中国にいる取引相手のために何があろうと香港にとどまるはずだ。本土との繋がりで大きな富を得てきた親中派も同様だろう。だが、地域の金融ハブとしての香港は存在しなくなる。

 

地元の有望な人材が流出し、人民共和国に忠実な市民に取って代わられることになる。これは、民主化運動に共感したり、参加したりした若い世代の者たちにとっては、香港を離れるという選択をするには十分な理由だ。中国でビジネスを行っている外国企業の中にも、上海や北京に事業を移す会社が出てくるかもしれない。マイク・ポンペオの警告が現実になれば、なおさらだ。

 

 

日本は“代わり“になれるのか?

 

自然は足らざるを補う。もし、この40年間慣れ親しんだ形としての香港がなくなったら、どこがその代わりを務めるのだろうか。地域の金融ハブを引き継げる候補は少ない。オーストラリアは遠すぎる。香港からの「難民」が増加している台湾は、言語の優位性はあるが、チャイナリスクの重荷を背負って国際的に孤立しており、国交を結んでいるのは僅か7ヵ国しかない。シンガポールはすでに地域金融の中心地ではあるが、北東アジアをカバーするには理想的な位置ではない。ニューヨークまでは直行便で17時間もかかってしまう。

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香港の機能を引き継ぐ最有力候補地は東京である。東京はロンドンとニューヨークの時差の間にすっぽりおさまることに加え、羽田空港が長距離便に対応できるようになったことで、物流面でも一流となった。労働者は高学歴で、日本の金融イノベーションは1710年に世界初の先物取引所が設立されたことにまで遡る。

 

英国のZ/Yenグループと中国開発グループがまとめた「世界金融センター指数」によると、2020年の競争力では、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで第三位であり、上海、シンガポール、香港よりも上位に位置する。

 

しかし、日本は外国人金融関係者とその家族の半永久的なコミュニティを受け入れることを望んでいるのだろうか。確かに東京は世界的に重要な金融センターかもしれないが、それは必ずしも国際的であることを意味しない。

 

取引のほとんどすべてが日本向けであり、日本人が担当している。過去15年間、国際金融センターの設立について多くの議論がなされてきたが、官僚主義的な惰性によって実現はしていない。それには理由がある。税制、ビザの種類、規制文化、商法など、必要とされる変化のリストは膨大なものになるだろう。主要省庁と有力な政治指導者を巻き込んだ「オールジャパン」の取り組みだけが、それを実現できるだろう。

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日本は得をするのか?

 

おそらく最大の障壁は、日本国民を味方につけることの難しさではないだろうか。

 

不平等はわかりやすい問題だろう。日本国民の一部がホームレスになっている時代に、なぜ一部の高給取りの外国人が相続税を免除され、キャピタルゲイン(株式などの資産価値の変動によって得られる利益)の特別低税率の恩恵を受けるのかと、疑問に思うだろう。

 

金融スキャンダルが発覚した場合、メディアはどのように反応するのだろうか。日本の行政機関は優秀で誠実だと思うが、それでも不祥事は避けられないだろう。また、一般の人々は、日本が国際金融取引から一体何を得るのかと疑問を持つはずだ。

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単純な答えは、ダイナミックな金融産業が多くの高賃金の雇用を生み出し、税収の増加に貢献するということである。だからこそ、シンガポールも香港も一人当たりのGDPで日本と英国を上回る水準を達成しているのだ。

 

もう少し込み入った話をするならば、地域の金融ハブになることは、東アジアにおける日本の影響力を拡大することに繋がる。そして、多くの友好関係を築くことができる。香港からの金融難民は、当然日本の味方になるだろう。

 

形成されつつある新冷戦という国際情勢において、孤立は避けるべきだ。同盟関係は可能な限り増やすべきである。

 

著者: ピーター・タスカ( Peter Tasker)

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