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森朝奈さんインタビュー【後編】:「まずは食べて、クジラのおいしさを知ってほしい」

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インタビュー【前編】はこちら

 

YouTubeチャンネル「魚屋の森さん」で、クジラをはじめとする海の食材の魅力を発信し続けている森朝奈さん。様々なメディアでも取り上げられるなど注目度もますます高まっている彼女に、クジラについてうかがうインタビュー。後編では、留学時代に知った「日本人とクジラ」に対しての外国人の考えや、お店を訪れてくれた海外からのお客様とのやりとりについてもお話してくださいました。

 

熟成鯨の藁焼き  藁焼きの香ばしさ、鯨のやわらかい上品な味わいがたまらなく美味!

 

最初に社長が「クジラ肉を売りたい」と言い始めたときは、反対しようとした

 

―朝奈さんは、クジラは子どものときから食べていたのですか?

 

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食べてないですね。寿商店で働くために名古屋に戻ってきたあと、初めて食べました。当時、社長が急に『俺、クジラ(の商売)をやろうと思うんだ』ってヒートアップしてた時期があるんですけど、そのときにお店で食べたのが最初です。でも正直言うと、社長が『クジラをやりたい』って言い始めたときは、悪いことに手を出そうとしているのかと思って反対したんですよ。

 

 

留学先のニュージーランドで、「日本人はクジラを食べる」という理由で偏見の目で見られたことも

 

―どうして悪いことだと思ったのでしょうか?

 

わたしは学生時代、交換留学でニュージーランドに住んでいた時期があるんですけど、そこで、日本人はクジラを食べるという理由で差別的な声を受けたことがあるんです。ニュージーランドってフランス人もたくさん住んでいるんですけど、フランスは動物愛護の思想が強いから、クジラを食べる日本人は信じられないって会話が交わされているのをよく目の当たりにしたし、反捕鯨のデモが起きるとカフェに入れてもらえないこともあった。だから、社長の『クジラをやりたい』に対する第一印象はよくなかったんですけど、実際に食べたらおいしかったし、父の熱意を肌で感じたことで、『自分は真実を知らないのに、悪いと思っているだけではないのだろうか?』と自問自答するにいたったんです。

 

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クジラを食べるのが本当にいけないことなのか、自分なりの考えをまとめるためにたくさん勉強した

 

―真実を知るために具体的になにか行動をとりましたか?

 

本は色々読んだし、ネットでの書き込みにも目を通しました。日本語の書き込みだけだと偏った意見しか得られないと思って、いろんな国のサイトをチェックして。それから、父の買い付けについていって共同船舶さんに話も聞いたし、海洋大学で研究している友だちを頼って尋ねて行って、その大学の教授とも話させてもらったり。生態学を学ばれた方だったので、クジラの繁殖成功率が高いことなどの専門的なことも教えてもらうことができました。

 

 

実際にクジラを食べたことで、「クジラはおいしくない」は誤った認識であることを実感した

 

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―かなり時間をかけてリサーチされたのですね。

 

はい。そうやって幅広く知識を吸収していった結果、わたしが理解していたこととまったく違う事実がたくさんあった。そもそも、『クジラはおいしくないのに日本人はなぜ食べるのか?』と言われていたけど、実際に食べたクジラはとてもおいしかったし。だけどもちろん、海外の人が日本人を非難することは色んな背景があることも見えてきたから、一筋縄ではいかない話だというのはよくわかっています。

 

鯨の韓国風ユッケ  臭みが全くなく、あっさりなのに濃厚な味わいがくせになる一品!

 

クジラ目当てに海外から来店してくれたバックパッカーもいた

 

―外から日本を見る体験をしたことで、理解が深まった部分もあるのでしょうね。日本にお住まいの今、国によるクジラに対する考え方の違いなどについてはどう思われますか?

 

食べてみておいしいって思ってもらえたら、生まれ育った国は関係なくクジラを好きになってもらえると思っています。以前、(寿商店が運営している)『魚屋の台所 下の一色』にバックパッカーの白人男性がいらっしゃったことがあったんですけど、メニュー表のクジラのレアステーキ丼を指さして『これください』と注文されたので、日本人以外の方が鯨をオーダーされるのが珍しかったため、「それはクジラ肉ですよ」と説明したことがあるんです。ところがその男性は、「それが食べたくてここに来た!」っていうんです。

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思想や政治的要素もあるけれど、食べておいしかったら「おいしい」というのは自然なこと

 

―それは印象的な出来事ですね!

 

そうなんです。料理をお出ししたところ、写真を撮って一生懸命何か書いていたので、そのお客さんが帰るときにレジに立って『どうでしたか?』って聞いたら、『めちゃくちゃおいしかった!』って。『自分の国では、日本人はおいしくもないクジラを食べてるって言われてるけど、実際に食べてみたらほんとにおいしかった。みんなが言ってることやネットに書かれてることを、自分で試してもいないのに一緒になって批判するのはよくないね。ぼくはこれからも君たちを応援しているよ』って言ってくださって。帰り際には、お店で販売しているクジラグッズまでいっぱい購入してくれました。彼のように、思想や政治を抜きにして、食べることを通じて広めるのはすごくナチュラルなこと。だから、飲食店としてできることはおいしいクジラを提供することだし、わたしたちにできることは一生懸命やっていきたいなって思っています。

 

シアトルフィッシュマーケット (中部国際空港第二ターミナル2階)

 

空港店もオープンしたこともあり、海外からのお客様にもお店を知ってもらえる機会が増えた

 

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―最近は外国人のお客さまは多いですか?

 

そうですね。(中部国際)空港にも店舗をオープンしたこともあって、外国からの方は増えています。店舗によっては中国からのお客さまも多くいらっしゃいますし、外国語メニューも用意するようになりました。

 

 

子どものころに食べた印象で「クジラはおいしくない」と思っている人にも再度トライしてほしい

 

―最後に、クジラに興味を抱いている読者のみなさんにメッセージをお願いします。

 

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とにかく、まずは食べてもらいたいです。それに、昔食べておいしくなかった印象がある人にも、もう一度チャレンジしてみてほしい。私達もこれまで色々な方法を試し今の技術に至りましたが、そうして丁寧に解凍し熟成させたクジラは本当においしいし、きっとこれまでの認識が覆されると思います。

 

店の人気メニューは、レアステーキ丼に、藁焼きやユッケ。とてもおいしいので、多くの方に食べていただけたらうれしいです。

 

また、お店で食べるのではなくて、クジラ肉を買ってきて家で調理するなら、レアステーキが一番。焼きすぎないことがポイント!そうすれば、クジラ肉を簡単に本当に美味しく食べられるので、ぜひ試してほしいですね。

 

 

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くじら総合サイト「くじらタウン」の記事を転載しています

 

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