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治験や増産進む「アビガン」 早期投与で効果期待

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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、治療薬の有力候補として国内外で注目を集めるのが国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」だ。国内で既に350人以上に投与され、効果があるとの報告が相次いでおり、国の承認に向けた治験や増産の動きが進む。効果の検証はこれからだが、実用化すれば患者の重症化を防げると期待されている。

 

「症状改善に効果があったという報告も受けている。皆さんに使っていただきたい」

 

 

今年度中に200万人分

 

安倍晋三首相は7日、記者会見でアビガンの有効性に触れ、他国への提供にも言及した。政府は今年度補正予算案に139億円を盛り込み、新型コロナウイルスでは70万人分となる現在の備蓄量を、今年度中に200万人分まで増やす。

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これに伴い製造元の富士フイルム富山化学はアビガンの増産を決定。月約4万人分だった生産量を、9月には約30万人分に引き上げる。中国からの輸入に頼る原料の国産化も急ぐ。

 

海外では米国やイスラエルなどで治験が決まり、ドイツ政府は購入を決定。外務省によると、インドネシアやチェコなど20カ国への無償供与が決まり、30カ国以上とも調整している。

 

 

ウイルスの増殖を阻止

 

アビガンは同社が富山大名誉教授の白木公康氏と共同で開発し、平成26年に新型インフル薬として承認された。ウイルスが細胞内で増殖するのに不可欠な遺伝子の複製を妨げ、症状の悪化を阻止する働きがあり、新型ウイルスでも同様の効果が期待されている。

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新型ウイルスは対象外の病気だが、医療機関の判断で投与できる。妊婦への深刻な副作用などを除けば既に安全性は確認済みだ。ただ、増殖後のウイルスは退治できないため、ウイルスが少ない早期の投与が望ましいという。

 

石川県立中央病院では約20人の患者に投与し、14人に症状の改善が見られた。一方、60代以上の4人は死亡し、うち3人は入院時に重症だった。西耕一診療部長は「一定の効果があるが、万能薬ではない。PCR検査で陽性となり、熱やせきが出ている人は、なるべく早く服用した方がよい」と指摘する。

 

無症状や軽症の患者86人に投与する臨床研究を3月に始めた藤田医科大の土井洋平教授は18日、都内で現状を報告。「全国の医療機関と協力し目標の半分程度まで進んでいる」と話す。

 

 

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承認には半年以上か

 

現在はそれぞれの医療機関が手探りで治療しているため、患者の容体に応じた異なる使い方で投与されているが、国の承認を得るには投薬の量や期間を厳密に定め、有効性と安全性を評価する治験が不可欠だ。

 

このため同社は3月、全国の医療機関で約100人の患者を対象に治験を開始。6月末まで実施し、結果が良好なら承認を申請する。国は特例で迅速に審査する方針だが、承認までに半年以上はかかりそうだ。

 

日本感染症学会理事長の舘田(たてだ)一博東邦大教授は「まだ有効性については判断できない。本当の意味で確認するには治験の結果を待つ必要がある」としている。

 

筆者:小野晋史(産経新聞)

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