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西ワシントン大・遊佐道子教授に金沢大国際賞

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金沢大学は、同大にゆかりのある日本を代表する哲学者の鈴木大拙(だいせつ)と西田幾多郎(きたろう)にちなみ、哲学・思想・宗教の分野で国際的に卓越した業績を挙げた研究者を顕彰し、称える「第2回金沢大国際賞」に西ワシントン大の遊佐(ゆさ)道子教授(67)=米国籍=に授与することを決定。2019年12月26日、授賞式・記念講演会が行われた。遊佐教授は、大拙と西田の哲学・仏教思想などの研究に取り組み、世界に発信していることが高く評価された。

 

記念講演会で、遊佐教授は、同年代を生きた大拙と西田の世界観に言及し、「平和を願う、二人の篤い友情は哲学的にも、宗教的にも世界史的な意味を持っていた」と紹介した。

 

そのうえで、「江戸時代の加賀(=金沢)には、〝太平無事〟という価値観と、〝文化的創作的自由平等〟の空気が満ちていた。この二つの共通点は、大拙仏教哲学と西田哲学に共通している」と指摘。

 

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二人の関係には、「幾多郎は1945年に他界します。西田哲学が西洋で評価され、広く受容されるようになったのは、その没後で、大拙が大きな役割を果たした」「〝西田が生きている時にもっと聞いておけばよかったと大いに後悔する〟。西田哲学が米国の哲学界であまり知られていないことに気づいた大拙は、会議の席上などで事あるごとに西田について言及し、その普及に尽力しました」と述べた。

 

遊佐教授は、仙台市出身。国際基督教大学を卒業後、米カリフォルニア大サンタバーバラ校で宗教学の博士号を取得。現在は、米国籍を取得し、西ワシントン大学の日本哲学・インターカルチュラル哲学教授に就任し、日本と米国という二つの文化的背景に基づきながら、西田思想や禅・仏教思想などの研究に取り組み、国際的に活躍している。

 

 

大拙と西田は、ともに金沢大学(旧制第四高等学校)の出身で、哲学の分野で世界的偉業を達成した両者に敬意を表することから、同大学は同賞を創設した。

 

金沢大学医学部出身で、国際賞の創設に尽力した臼井(うすい)溢(みつる)医師は、同賞の意義について、「世界は今、文明の衝突で混乱し、諸民は苦しんでいます。日本の文明は、こうした危機にどんな役割を担うことが求められているのか。思い起こすのは、聖徳太子の十七条憲法です。太子は大陸から仏教を取り入れ、日本を世界最大の仏教国といわれる基礎を作りましたが、外来文明導入派と土着宗教維新派の衝突を目撃し、〝和を以て貴(とおと)しとなす〟と六百四年に十七条憲法に書き込むことで、神道と仏教が共存する今の日本社会の姿を作ってきました。この〝和〟はHarmony(調和)というより、Tolerance(寛容)で、英文ではTolerance is to be valuedと訳すのが穏当と東京大学名誉教授の平川祐弘(すけひろ)氏は述べています。大拙も人生の秘訣は許すこと、つまり寛容と語られていた。大拙、幾多郎の主張する宗教観・哲学には、文明の衝突という人類の危機を緩和し、乗り越える智恵があります。これを世界に発信することが、国際賞の役割かと思います」と話している。

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2018年の第1回は、フランス極東学院の名誉教授、ジラール・フレデリック氏が受賞。ジラール氏は、専門が日本仏教の宗教的哲学的思想の研究で、道元禅師の正法眼蔵の全巻フランス語訳などの著作を進めている。フランス東洋学研究所日本学部常任理事や東洋大学の国際哲学会理事などの要職に就いている。

 

 

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