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【主張】金融緩和策の修正 日銀は丁寧な情報発信を

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Bank of Japan
日本銀行本店=東京都中央区(川口良介撮影)

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日銀が大規模な金融緩和策を修正した。政策的に許容する長期金利の変動幅を拡大し、長期金利の上限を従来の0・25%程度から0・5%程度へと引き上げた。市場では事実上の利上げと受け止められた。

 

日銀は国債を大量購入し長期金利の上昇圧力を人為的に抑え込んできた。それが債券市場の価格形成機能を歪(ゆが)めているため、上限の引き上げで是正を図るのだという。

 

だが、この決定はいかにも分かりにくい。緩和がもたらす市場機能の低下はかねて指摘されてきた弊害だ。深刻化する懸念があるのだとしても、これまで日銀が否定的だった上限の引き上げをいきなり決めた唐突感は拭えない。

 

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Bank of Japan

記者会見する日銀の黒田東彦総裁=9月26日午後、大阪市(代表撮影)

 

黒田東彦総裁は来年4月に任期を終える。日銀がその後、新総裁の下で現行の金融政策を見直す可能性も取り沙汰されるなど、日銀の金融政策に対する注目度が高まっている。そういう時期だからこそ日銀には、より丁寧な情報発信と政策運営を求めたい。

 

今回の決定を受けて長期金利は急上昇した。円相場も急騰し、株価は大きく下落した。黒田総裁の任期中は政策修正がないとみていた市場関係者にとっては想定外の決定だったということだろう。

 

日銀が修正したのは長期金利の変動幅であり、長期金利を0%程度に誘導する金融緩和策の骨格部分を変えたわけではない。

 

このため黒田総裁は、事実上の利上げだという市場の見方を否定したが、この点も実に分かりにくい。ほかならぬ黒田総裁が、これまでの会見などで、こうした修正が利上げに相当するという見解を示してきたからだ。自らの発言が整合性を欠くことについてもっと納得できる説明をすべきだ。

 

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日銀は、市場機能の低下を是正することで企業の資金調達などが円滑になれば、経済成長を後押しできるとみている。だが、金利上昇が企業借り入れに悪影響を及ぼすことがないのか。こうしたことも十分に見極める必要がある。

 

物価高騰を受けて利上げに動く欧米などの中央銀行とは違い、日本だけは新型コロナウイルス禍からの景気回復が遅く、緩和を続けざるを得ないのが現状である。だが、いずれは日本でも緩和策からの「出口戦略」を議論すべきときが来るだろう。そのことも念頭に置きながら、きめ細かく金融政策を講じなければならない。

 

 

2022年12月21日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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