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キーワードはフルーティー 海外が注目する本格焼酎の最新トレンド

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ロンドンで開かれた展示会に参加するなど海外販売の強化もねらう濱田酒造=7月4日、ロンドン(濱田酒造提供)

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サツマイモを枯らす「もとぐされ」(基腐)というまがまがしい名前の病気をご存じだろうか。カビ(糸状菌)によって引き起こされ、感染すると葉や茎が枯れ、最後にはイモが腐敗してしまう。鹿児島、宮崎両県では平成30年度に確認され、その後、全国に広がりサツマイモの収穫量が大きく減少。鹿児島県などの焼酎メーカーは大打撃を受けたが、新型コロナウイルス禍での家飲み需要、海外への販路拡大など逆境をはね返そうと奮闘している。

 

農林水産省によると、サツマイモの作付面積が全国1位の鹿児島県では、令和3年の収穫量が前年比約2万4千トン減の約19万トンと過去最低だった。基腐病が収穫量減に大きく影響したとみられ、濱田酒造(同県いちき串木野市)は10月、本格焼酎全品の価格を14年ぶりに値上げした。販売休止中の商品もあり、担当者は「供給不足でイモの争奪戦になっている」と嘆く。

 

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基腐(もとぐされ)病に感染したサツマイモ(農業・食品産業技術総合研究機構提供)

 

対策ももちろん進められている。国の研究開発機関である農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が基腐病に強い新品種「みちしずく」を開発した。

 

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原料不足で焼酎の生産量が1~2割減った若潮酒造(鹿児島県志布志市)は譲り受けた種イモを契約農家と栽培し、今年2トンほど収穫。上村曜介経営戦略室長は「来年は100~200トンの収穫を見込んでおり、新しい原料を使い、本格的に仕込んでいきたい」と期待を寄せる。

 

先行して仕込んだ酒造メーカーなどもあり、これまで芋焼酎の主品種だった「コガネセンガン」で仕込んだものと味、香りともに遜色ないという。同社では来年から新しい原料を使った仕込みに本腰を入れる計画だ。

 

 

ブームの陰りからコロナで再び脚光

 

本格焼酎は平成12~17年ごろに全国的なブームを迎えた。背景について、日本酒造組合中央会の担当者は「芋焼酎や泡盛など九州・沖縄で地産地消されていたものが首都圏や全国に広がった」と解説する。だが、19年前後から出荷量は減少に転じ、頭打ちに。令和3年には約37万キロリットルで前年よりも5・5%減った。

 

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苦しい状況が続いていたが、光明も見えてきた。コロナ禍で改めて「家飲み」が見直され、新たな販路が見えてきたのだ。メーカーも本格焼酎になじみのない若い世代も受け入れられるよう、フルーティーな香りのする、これまでにない商品開発に力を入れてきた。

 

濱田酒造はライチのようなみずみずしい香りが弾ける芋焼酎「だいやめ」を開発し、販売拡大に力を入れてきた。ボトルのデザインにもこだわり若者の評価が高い。「だいやめ」の令和3年度の売上高(国内外)は前年度比で1・5倍と好調だ。

 

若潮酒造でも原料の芋や酵母、デザインを毎年更新し蒸留する「GLOW」シリーズを5年前から販売している。今年4月に発売した「GLOW EP05」は一升瓶で5千本分を用意したが、予約段階で完売。今年の「EP05」は「コーラ割りがお勧め」(上村さん)という。

 

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鹿児島県などは本格焼酎の海外輸出の強化に向けて米国のバーテンダーを蔵元に招待した=鹿児島県いちき串木野市(濱田酒造提供)

 

米国からバーテンダー招き海外認知度アップへ

 

国内市場の深掘りに加え、海外市場への浸透も目指す。国なども輸出促進に向けた補助を充実させるなど後押ししている。

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10月には熊本、鹿児島、宮崎、沖縄の4県で「焼酎連合」を結成した。4県が連携し、和食人気が高まる香港市場で本格焼酎や泡盛の認知度アップを狙う。11月には鹿児島、宮崎、大分県が中心となり、米国のバーテンダーを各県の酒造メーカーに招き、作り手の思いなども伝えるツアーを企画した。

 

海外からはカクテルに使う「ジャパニーズ・スピリッツ」としても注目されており、参加したバーテンダーからは「いろんな原料を使って作れる面白いスピリッツだ」「作り手の話を聞き、ストーリーをお客さまに話せるようになった」という感想が寄せられ、関係者は本格焼酎の可能性に手応えを感じている。

 

「蔵元として、新しい需要を商品に取り込む余地はまだまだあるはずだ」

 

濱田酒造で「DAIYAME40」というカクテルにも使える焼酎のマーケティングを担当する下尾崎一仁さんはこう意気込む。基腐病に打ち勝ち、再び焼酎人気を取り戻すことができるか。酒造メーカーの挑戦が続いている。

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筆者:千田恒弥(産経新聞)

 

 

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