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新種恐竜カムイサウルス、大繁栄時代を日本から発信

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北海道むかわ町で発掘された恐竜化石の「むかわ竜」が新種と判明し、9月6日、「カムイサウルス・ジャポニクス」の学名が付いた。全長約8メートルに及ぶ日本最大の恐竜の全身骨格だ。国内では破片ぐらいしか見つからないと思われていた恐竜化石への認識を一変させるもので、日本の恐竜研究は新たな時代に入った。

 

 

日本最大の「神トカゲ」

 

むかわ竜は平成15年、化石収集家が中生代白亜紀後期の約7200万年前の地層で発見した。当時は海だった地層で見つかったため、海生爬虫(はちゅう)類の首長竜と思われていたが、8年後に恐竜と判明。本格的な発掘で29年に国内最大の全身骨格と分かり、研究者らを驚かせた。

 

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見つかった化石は9歳以上の成体で、全身の8割以上に及ぶ。研究を進める北海道大の小林快次(よしつぐ)教授は「日本を代表する恐竜化石になった」と話す。

 

詳しく研究した結果、細い前脚や、背骨にある突起の角度などの特徴から新種の恐竜と判断し、学名を付ける論文を英科学誌に投稿して掲載が認められた。国内で見つかった8番目の新種恐竜だ。

 

北海道で見つかったことから、アイヌ語で神を意味する「カムイ」を学名に冠した。サウルスとジャポニクスはラテン語で「トカゲ」「日本の」を意味しており、直訳すると「日本の神トカゲ」となる。

 

 

ティラノサウルスと同時代に生きていた

 

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このカムイサウルスの化石は雌雄不明で、歩き方も2足歩行か4足歩行だったか分かっていない。頭には板状のとさかを持っていた可能性があるという。

 

海の近くで植物を食べて暮らしたとみられるハドロサウルス科に属する。沖に流され死体が海底に沈んで化石になったようだ。8400万年前に東アジア東縁に生息していた祖先が、独自に進化したらしい。

 

カムイサウルスの発見は、今後の恐竜研究に大きなインパクトを与えると小林氏はみている。恐竜の化石は陸の地層から見つかったものが多く、海の地層は世界でも珍しい。カムイサウルスを研究すれば、当時の海辺の理解が進むと期待される。

 

また、カムイサウルスは史上最強とされるティラノサウルスや、トリケラトプスと同時代を生きたことから、小林氏は「恐竜大繁栄時代の情報を日本から発信できる」という。

 

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これまで日本の恐竜研究は、海外で発掘された全身骨格と比較するなどして行われてきた。外国頼みだったわけだが、「今後は逆に、カムイサウルスを基準にした研究が中国やロシアなど海外で進む」との見方を示す。

 

 

恐竜王国ニッポン、18道県から発見

 

学名の公表は偶然にも、最大震度7を記録した北海道胆振(いぶり)東部地震から1年たった9月6日。竹中喜之(よしゆき)むかわ町長は「町が復興に取り組む中、過去から復活して学名が付くむかわ竜に運命的なものを感じる」と話す。地元ゆかりのむかわ竜の名前も、通称として残るという。

 

近年は国内各地で恐竜の化石が見つかり、日本も“恐竜王国”だったことが分かってきた。発見場所は卵の化石を含め18道県に及ぶ。ただ、その大半は歯や背骨などの小さな化石だった。こうした中、国内最大の全身骨格であるカムイサウルスは、アジアでも超一級の価値を持つ。

 

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「日本ではこれまで部分化石しか出ないという先入観があった。今後は全身が出る可能性があるとの視点で発掘が進む」と小林氏。迫力ある化石がまだ列島の地中に眠り、発掘を待っている。カムイサウルスのニュースは、そんな確信を抱かせてくれる。

 

筆者:草下健夫(産経新聞科学部)

 

 

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