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虐殺被害のベトナム人 韓国で初の賠償請求 政権・メディアは対応苦慮

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ベトナム戦争に派遣された韓国軍により家族を虐殺され自身も負傷したというベトナム人女性が韓国政府に損害賠償を求める裁判を初めて起こし、ソウル中央地裁で審理が進められている。韓国では慰安婦問題などで日本批判が長年展開されているが、「戦時の暴力」をめぐり韓国政府は法的責任を問われる側に立たされた。

 

訴えを起こしたのはグエン・ティ・タンさん(60)。7歳だった1968年2月、ベトナム中部クアンナム省の村落で兄とともに韓国軍の銃撃を受け、1年以上の入院を要する重傷を負った。地元では70人以上が死亡。タンさんの母や姉も犠牲となったという。

 

タンさんは今年4月、韓国政府が虐殺に対し明確に謝罪せず被害の救済がなされていないとし、約3000万ウォン(約280万円)の損害賠償を求め提訴。第1回口頭弁論が10月12日に開かれた。新型コロナウイルス流行の渡航制限でタンさんは訪韓できず、韓国人の弁護団が対応に当たっている。

 

Seoul Central District Court

 

韓国政府は、ベトナムと65年に結んだ軍事実務覚書に民間人への被害補償が盛り込まれており、訴訟を通じた被害救済は不可能との答弁書を提出していたが、弁論直前に撤回。虐殺の立証が不十分だとし請求棄却を求めた。タンさんは犠牲者の名誉回復と「公正な裁判」を求めている。

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韓国ではメディアなどが戦時暴力や人権について日本に厳しい姿勢をとり、慰安婦問題やいわゆる徴用工問題は外交問題に発展。だが、自国の責任が問われたベトナム戦争をめぐる訴訟は、メディアの多くが事実関係を伝えても、詳細な報道は乏しい。

 

Supporters of victim Nguyen Thi Thanh carry her appeal to the South Korean court since Nguyen is unable to travel due to COVID-19 restrictions.

 

ベトナム戦争への派兵が朴正煕(パク・チョンヒ)政権で実行され、朴元大統領を評価する保守派には都合が悪い。歴史問題で厳しく日本を追及する左派にとっても、決まりの悪い問題となり、対応に苦慮しているとみられる。

 

原告側代理人を務めるのは「民主社会のための弁護士会」という弁護団で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も弁護士時代に所属していた団体だ。文政権は人権問題に敏感な左派系市民団体や世論の支持を受けて誕生したが、今回は政府として責任を問われる立場。次回口頭弁論は来年1月に行われ、韓国政府の対応が注目される。

 

筆者:名村隆寛(産経新聞ソウル支局)

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