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「中傷する前に考えて」SNS誹謗後に死去 木村花さん母親の思い

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フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー、木村花さん=当時(22)=が昨年5月、会員制交流サイト(SNS)で誹謗(ひぼう)中傷された後に亡くなった問題で、母親で元プロレスラーの響子さん(43)が産経新聞の取材に応じ、心境を語った。「誹謗中傷は犯罪。中傷する前にしっかり考えてほしい」。娘の名誉回復を目指すとともに、同じ悲劇が繰り返されないよう発信を続けている。

 

 

「人間と思っていない」

 

「花のために闘う」。響子さんは娘の無念を晴らすため、中傷の投稿者に対する

 

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法的措置を検討し、SNS事業者などへの情報開示請求を進めてきた。警視庁は昨年12月、花さんのSNSに悪質な内容を複数回投稿したとして、侮辱容疑で大阪府の20代の男を書類送検したが、響子さんは「罪に問われていない人こそ事件と向き合い、罪を償ってほしい。恋人や守るべき存在ができたとき、自分の過去を恥ずかしく思うときがくる。一人一人に考えてもらいたい」と訴える。

 

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現役のプロレスラー時代の木村響子さん(右)と、当時学生だった花さん(響子さん提供)

 

響子さんとインドネシア人の父親との間に生まれた花さん。幼いころから明るく陽気な性格で、響子さんのプロレスの試合会場にもよく足を運び、周囲にかわいがられた。

 

18歳でプロレスラーデビューし、響子さんを追うように同じヒール(悪役レスラー)の道へ。親子でともに練習に励み、将来を期待されていた。

 

シェアハウスでの共同生活を記録する番組「テラスハウス」は、インターネット上でも配信され、花さんは令和元年10月から登場。昨年3月末、花さんが共演者の男性に怒りをあらわにした場面が配信されると、SNS上で花さんを中傷する投稿が相次いだ。

 

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気丈に振る舞い続けていた花さんだったが、5月、響子さんに初めて胸を内を吐露した。祖母の誕生日会から帰る車中、「切り取られた場面だけを見て、好き勝手言う人がいるんだね」と声を掛けた響子さんに対し、花さんは涙を浮かべて「あの人たちは出演者を人間と思っていない」とこぼしたという。

 

 

自身も中傷「今ならもっと深く理解」

 

その後、テレビでも同じシーンが放送され、花さんは再び中傷の的になった。

 

《ママごめんね、もう頑張れない。ママ幸せに生きてね》

 

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花さんは響子さんにこうメッセージを残し、22歳という若さでこの世を去った。花さんに対する中傷の投稿は約1200件に上っていた。

 

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心境を語る亡くなった女子プロレスラー・木村花さんの母、響子さん(松井英幸撮影)

 

響子さん自身も中傷に悩まされている。娘を失い、心の傷が癒えぬ中、自らを奮い立たせるため、髪形をプロレスラー時代のアフロヘアに戻したが「不謹慎だ」「こんな親だから」などと中傷が相次いだという。「髪形だけを見て判断する人がいる。花の気持ちがすごくわかる。今なら前よりもっと深く理解してあげられたかな…」

 

それでも、決して歩みは止めない。「これ以上、中傷の被害者、加害者を増やしたくない」。その思いから、響子さんは現在、NPO法人の設立を目指しており、小学校などでSNS上での誹謗中傷を抑止する啓発活動も行う予定だ。

 

「毎日、ネットリンチされている人を目にする。被害者ばかりが追いつめられる現状を変えたい」。そう願っている。

 

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筆者:王美慧(産経新聞)

 

 

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