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北朝鮮党大会、金与正氏降格の背景

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北朝鮮の平壌で1月5~12日に朝鮮労働党第8回大会が開かれた。大会では初日から3日間をかけて金正恩委員長が活動報告を行い、「国家核武力」を完成させたことを自身の業績として強調し、今後も核兵器を開発すると明言した。多弾頭核ミサイル、固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を続け、原子力潜水艦はすでに設計が終わったと述べた。また、米国を敵と規定し、韓国に米軍との演習と戦略兵器の導入をやめるよう要求した。

 

経済政策では経済計画未達成を認め、科学的な管理をできなかったのが理由だと幹部を批判し、計画経済を強化して自力更生、自給自足を目指すとした。

 

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実妹の権力増大を警戒か

 

一方、5年前の党大会で新設された党委員長・政務局制度を廃止し、金日成、金正日時代の党総書記・書記局制度に戻し、金正恩氏が総書記に就任した。人事では実妹の金与正氏が政治局員候補から外れ、党の第1副部長からただの副部長に降格された。

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内部情報によると、降格の背景は、外部世界で与正氏が後継者や権力代行者だとの声が高まり、その周りに幹部たちが集まるのを見て、金正恩氏が警戒心を持ったことだという。金正恩氏は自分の権威が落ちている原因を党委員長という肩書にあると見て、今回の党大会で総書記就任と党政務局を書記局に戻すことを考えた。与正氏は、金正恩氏の総書記就任は時期尚早と反対したとされる。

 

党委員長・党政務局の制度は与正氏の側近であった朴泰成政治局員が設計したというが、朴泰成氏は金正恩氏の与正氏に対する警戒心を察知し、制度の廃止に賛成した。金正恩氏は与正氏に対し、今後は内政に口を出さず、対外関係だけを担当するよう命じた。それに従い、与正氏は大会最終日に、降格された党副部長の肩書で韓国軍を罵倒する談話を出した。与正氏の最側近だった崔富日・軍政指導部長は解任され、金チョグク組織指導部第1副部長は権限を大幅に縮小されたという。

 

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「日朝首脳会談を検討」の情報

 

米大統領選挙でトランプ氏が再選されたら、金正恩氏は核問題で従来の寧辺核施設の完全廃棄に加えICBM数発の廃棄を提案して譲歩姿勢を示し、米国に制裁解除を求める方針だったと情報筋に聞いた。原潜の設計終了や固体燃料ICBM、SLBM の開発などを公言した理由は、バイデン次期政権が人権を前面に立てて圧力をかけてくると予想しているからで、バイデン氏を怖がっているのだという。

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党大会で改革開放路線が打ち出されなかったので、多数の幹部や地方住民らの中でどうやって食べていけば良いのかという失望の声が高まっている。外貨不足は深刻さを増し、一昨年10月から海外勤務の外交官や工作員への給与がゼロになった。住居の家賃を払えなくなった外交官が駐在国の友人知人に借金依頼をしているという。

 

権力中枢部ではまとまった外貨を得るため菅政権が求める日朝首脳会談の受け入れを真剣に検討している、という情報を得た。拉致被害者救出のチャンスが芽生えている。

 

筆者:西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 

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国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第757(2021年1月18日)を転載しています

 

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