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メタバースで広がる「大阪国」の可能性

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大阪府と大阪市が2025年大阪・関西万博の準備を本格化させている。1月1日付で共同部署の「万博推進局」を設置したほか、昨年12月には機運醸成に向けて専用サイト「バーチャル大阪」を立ち上げた。3次元仮想空間「メタバース」を活用し、開幕イベントで若手漫才師の日本一を決める「M―1グランプリ」を実況。吉村洋文知事は万博のレガシー(遺産)を念頭に「大阪国をつくる」と気炎を上げている。

 

「バーチャル大阪」について説明する大阪府の吉村洋文知事=2021年12月16日午後、大阪府庁

 

「サイバー万博」体現

 

「一過性に終わらせず、万博であったことが生活や技術、経済そして未来につながってくる。そういった万博を実現したい」

 

1月4日の万博推進局の発足式終了後、吉村氏は記者団にこう語った。「(万博で)大阪の先進技術を結集し、世界に披露する」とも表明した。

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万博推進局は府市の組織を一元化し、機運の盛り上げや地元パビリオンの展示計画などを円滑に実行するのが狙いだ。

 

松井一郎市長は「窓口を一元化することで、熱意ある大阪の中小企業の皆さんがスムーズに万博に参加できる体制を整えた」と意義を強調。吉村氏も「府市一体でスピード感をもって、万博の成功に向けてやっていきたい」と語った。

 

府市一体の事業として今後の柱になるのが、バーチャル大阪だ。吉村氏は「バーチャル空間は距離や広さの制約がなくなる。非常にポテンシャルが高い」と語る。

 

政府は万博のコンセプト「未来社会の実験場」を具体化するため、昨年末に策定した指針「アクションプラン」で「リアルとバーチャルを融合させた新しい国際博覧会」を打ち出すと明記した。運営主体の日本国際博覧会協会が提唱し、リアルとバーチャルをつなぐ「サイバー万博」(仮称)はその一環で、バーチャル大阪はサイバー万博を体現する嚆矢(こうし)といえる。

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2021年12月に仮想空間内で行われたM-1グランプリの実況の様子=バーチャル大阪より

 

M-1を〝裏実況〟

 

バーチャル大阪は、同じ3次元仮想空間にいる人々とリアルタイムで交流できるサービス「メタバース」を活用している。実在する都市をモデルにしたメタバースを自治体が設置するのは初めてといい、参加者は自身の分身となる「アバター」を登録して交流する。

 

府市は昨年12月、1970年大阪万博の象徴「太陽の塔」が建つ「エントランスエリア」を公開した。同月19日には開幕イベントとして、お笑いコンビ「ミルクボーイ」がM-1グランプリの敗者復活戦と決勝戦を〝裏実況〟した。

 

仮想空間内で大型ビジョンを設置した会場には、赤ちょうちんや「日本一のたこ焼き」などと大書した看板が並び、くいだおれの街・大阪の雰囲気を演出。午後2時の開場に合わせて多数の参加者が来場し「国外からみれるのうれしすぎる」とのコメントもあった。

 

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敗者復活戦と決勝戦の合間に、ミルクボーイの顔立ちや髪形を再現したアバターが本人の声で漫才の持ちネタ「コーンフレーク」を披露すると、拍手や口笛の効果音が鳴り響いた。ツッコミ役の内海崇さんが、参加者から「邪魔でビジョンが見えない」と指摘されて移動するというメタバースならではの場面も。

 

この日のピーク時の視聴者は2万1千人。府市の担当者は「滑り出しとしてはまずまずの結果」と胸をなでおろした。

 

 

100兆円市場

 

バーチャル大阪は今後どうなるのか。府市によると、2月に本格稼働し、大阪の名所を再現した都市エリアが順次開設される予定だ。万博後の活用も見据え、4月には民間に運営を委託する。

 

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というのも、メタバース市場はアバターの交流にとどまらず、市場取引や仮想通貨の発行を実現するなどして100兆円規模に発展する可能性が指摘されている。米IT大手のフェイスブックはメタバース事業に注力するため、社名を「メタ」に変更し、KDDIやパナソニックなどの日本企業も参入の動きを進める。

 

潜在可能性の高いメタバース市場で市場取引が可能となれば、民間運営を通じて地元企業の販路を開拓したい思惑がある。

 

吉村氏もバーチャル大阪で観光名所を再現したり、中小企業の技術をアピールしたりして「第2の大阪をつくりたい。万博後のレガシーにもなる」と期待を寄せる。さらに「言語や人種、国の壁を取り払い『大阪国』をつくる。バーチャル空間でできることを楽しんでもらい、実際の会場で出会ってもらう」と構想を膨らませた。

 

ただ、現時点で広大な仮想空間は太陽の塔が建つだけの〝空き地〟で、参加者が数人のときも珍しくない。府市の担当者は「継続的に地元企業や府民が盛り上がれる方法を考えなくては」と焦りをにじませる。まずは民間に委託するまで関心を呼び込む仕掛けが必要になりそうだ。

 

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筆者:尾崎豪一、吉国在(産経新聞)

 

 

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