コロナ経済対策は対象と目的を明確に

 

新型コロナウイルスの感染拡大の経済的影響は深刻になっている。中国から欧米に感染が拡大し、入国制限、外出禁止で人の移動が止まってしまった。また、いつまで続くのかが見通せないという不安から、世界の株式市場はパニックのように暴落している。日本国内でも外国人旅行客の減少、イベントや外出の自粛、サプライチェーン途絶など、需要、供給両面で急激なショックが発生している。そこで、日本でも緊急の経済対策が検討されている。

 

俎上に載っているのが、現金給付、商品券の配布、消費税の減税、キャッシュレス決済のポイント還元の拡充などだ。こうした手段のどれを選ぶか。政策手段を選ぶ際は目的を明確にする必要があるが、それが混在して議論が混乱しているようだ。

 

 

生活支援に現金、業界救済に商品券

 

今、早急に対策を講じなければ深刻な事態になるのが2点ある。フリーランス、個人事業者などが仕事の突然の消滅で生活に困難をきたしていること。そして、観光、飲食、イベント関連の業界から顧客がほぼ完全に消えてしまったことだ。

 

前者については先般の緊急対策で、フリーランス、個人事業者も含めて資金繰り対策として無利子融資を行うことにした。それは評価できるが、無利子でも借金を抱えることになる。さらに所得補償として大胆に現金給付をすべきだろう(例えば10万円)。

 

後者については、こうした特定の業界で突如消滅した需要を政府が穴埋めする必要がある。そこで旅行券や食事券を配ることが有効だ。ただし、今のような自粛の下では使いようがない。そのため、自粛が解除されるとすぐに使えるように、今から準備してアナウンスしておく。しかし、かつてのように地方自治体を通じてプレミアム付き商品券を配るのは、役所のコストと手間が膨大だ。ネット事業者など民間を活用した電子商品券のアイデアもある。

 

これらはいずれも対象、目的を明確にした対策で、それに応じて現金給付、商品券という手段を選ぶものだ。

 

 

消費減税は問題山積

 

さらに、そうした短期的な対策を大胆に講じたうえで、次に必要になるのが世界的なリセッション(景気後退)に伴う景気対策だ。それは新型コロナウイルスの封じ込めにある程度見極めがついて、市場の不安心理が払しょくされてからでないと、効果を発揮しない。先般の金融政策が全く効かなかったことを見れば明らかだ。その際、原油価格の急落による世界的な信用不安からくる問題にも同時に対処しなければならないだろう。

 

消費税減税はそうした中で検討されるものだが、問題は準備に時間がかかることと、社会保障財源なのでいずれ元に戻す必要があることだ。レジなどの小売りの現場の準備、実施までの間に確実に生じる買い控えなど山積する問題と、国民のマインドを変える効果をどう政治判断するかだ。

 

大事なのは、従来型の一律のバラマキ政策でなく、対象、目的を明確にした対策に大胆に集中することだ。

 

筆者:細川昌彦(国基研企画委員・中部大学特任教授)

 

 

国家基本問題研究所(JINF)「今週の直言」第664回(2020年3月23日付)を転載しています。

 

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Author:

Masahiko Hosokawa is a special professor at Chubu University and a former
director-general of the Trade Control Department at Japan’s Ministry of Economy, Trade and Industry. He is also a Planning Committee member at the Japan Institute for National Fundamentals.

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