【主張】アセアン世論調査 日本への期待を追い風に

 

平和や繁栄に貢献する国として、国際社会で日本が最も期待されていることが分かった。

 

シンガポールの東南アジア研究所が東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の識者に行った意識調査の結果だ。

 

さきの大戦後、政治や経済で地域の平和と安定に貢献してきた日本の取り組みが評価されたものだ。各国政府の現実的な対中アプローチは意識調査とは別物だろうが、今回の結果をひとまず歓迎したい。わが国は自由と民主、人権尊重という普遍的な価値観を旗印に、アジアの牽引(けんいん)役として今後一層の役割を果たすことが求められる。

 

国際平和や安全保障、繁栄などに関し「正しい行動をとる」と信じている主要国・地域として、日本が65・9%から支持を受けて最も高かった。欧州連合(EU)41・3%、中国19・6%だった。興味深いのは日本を信頼している国別度合いだ。中国傾斜が顕著なカンボジアで80%を超えた。

 

不信感を抱いている国では、中国が51・5%、日本17・0%だったが、それはそうだろう。

 

中国は国際法を無視し、南シナ海の人工島を軍事拠点化し、航行の自由を脅かしている。このことへの国際社会の批判は強い。経済面でも相手国を借金で縛るとの批判がある一帯一路により、地域での覇権確立を急いでいる。調査結果は有識者約千人が公正に判断したもので、妥当な数字だろう。

 

想起されるのは、外務省の斎木昭隆外務審議官(当時)が2012年11月のアジア欧州会議で、中国側に指摘した発言だ。

 

斎木氏は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり中国側が「戦後の国際秩序への重大な挑戦だ」と批判したのに対し「過去60年の平和国家のあり方を否定し、悪意に満ちた中国の発言に賛同する国はまったくない」などと反論した。調査結果は、この発言が誇張でも何でもないことをにじませた。

 

ただ、経済支援をテコにした東南アジア各国への中国の影響力は強大だ。日本が民間有識者の好感度にあぐらをかき、経済・人的協力など具体的な努力を怠れば中国の存在感はより高まるだろう。

 

戦後わが国は政府開発援助(ODA)や人的支援を地道に続けてきた。日米同盟を基軸に自由で開かれたインド太平洋戦略を進める上で、今後も東南アジア諸国との連携強化が欠かせない。

 

 

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