【主張】トヨタNTT提携 世界標準の確立を目指せ

 

トヨタ自動車とNTTが3月、街全体をITでつなぐ次世代都市「スマートシティー」の基盤を共同開発することで合意した。提携に合わせて約2千億円を相互に出資し、協業の実効性を高める。

 

トヨタは今年1月、自動運転や人工知能など先端技術とサービスを通じ、社会的な課題を解決する実証実験を静岡県裾野市で始めると発表している。この計画に高い通信技術を持つNTTが参加することで、都市機能の新たなインフラづくりを目指す。

 

幅広い技術を駆使するスマートシティーをめぐっては、米グーグルや中国企業なども相次いで開発に乗り出しており、国際的な競争が激化している。日本を代表する大手企業が手を結ぶことで、世界標準として通用する高度な利用技術を確立し、わが国産業界の存在感を示してもらいたい。

 

トヨタの計画では、インターネットに接続した自動運転車やロボットを利用し、ドローン(小型無人機)なども組み合わせて高齢化時代に対応した新たな都市基盤づくりを目指す。スマートシティーでは高度な通信技術が必要とされるため、NTTの5G(第5世代通信技術)なども活用する。

 

スマートシティーの住民には、センサーを使って健康管理を行い、病気の予防などにつなげる。NTTも米国でスマートシティーの実験を始めており、都市の幅広いデータを基盤づくりに生かす。両社とも利用者の視点に立ち、使いやすいサービスの提供に努めてほしい。

 

海外でもグーグルなど「GAFA」と呼ばれる巨大なIT企業がスマートシティーの構築に意欲をみせており、都市のIT化が一気に進む可能性がある。トヨタ・NTT連合が世界で主導権を発揮するには、エネルギーや医療など幅広い業種に参加を促して多様な技術を蓄積しなければならない。

 

新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、日本の自動車産業も海外を含めて減産を余儀なくされるなど厳しい状況に直面している。自粛が続き、個人消費が冷え込んで日本企業は先行きが不透明な経営環境にある。

 

こうした厳しい時期にトヨタとNTTという「日本企業連合」が将来を見据えて技術開発で提携する意義は大きいといえる。世界のライバルに対抗して具体的な成果を示してほしい。

 

 

2020年3月31日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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