【JAPAN Forward 日本を発信】刀と神話、人気の理由は

 

Traveling the San’in: Orochi and the Mythical Origins of the Sword
([山陰の旅]オロチと日本刀の神話)

 

英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)は政治や外交、安全保障、経済から文化、スポーツに至るまで実に幅広い分野の記事を世界に発信している。その中でも読者に人気なのが、日本刀、サムライ、そして神話に関わる記事である。

 

上の英文(日本語訳)は、JFが少し前に掲載した日本刀関連の記事の見出しだ。7月、最も読まれた記事の中に、福島の会津に息づくサムライ魂を追った物語も入っていた。福島の物語はまだ連載が続いているので、日本刀のルーツを探る「山陰の旅」について紹介しよう。

 

執筆したのはいずれも英国出身の日本刀専門家、ポール・マーティン氏だ。大英博物館の元学芸員で、現在は、外国人では初の日本刀文化振興協会(NBSK)評議員を務める。ジャポニスム振興会(本願寺)の日本刀文化マイスターにも任命された。

 

同氏の旅は、神話の舞台となり、「神の国」と呼ばれる山陰地方の島根県にある日本最古の神社のひとつ、出雲大社を訪ねるところから始まる。

 

同氏は出雲大社の祭神、大国主神が陰暦十月に合わせて毎年全国から八百万(やおよろず)の神々を集め、歓迎する「神迎祭」に参列した。「式典は日没した直後に火を灯して行われ、神々が海から訪れる道を導く。神々の到着の瞬間が近づくにつれて徐々に緊張感が高まり、太鼓と龍笛で神道音楽が演奏される」と記している。

 

さらに、「オロチ」と呼ばれる石見神楽の演目にも立ち会い、「幻想的で、感動的な公演だった」と感想を述べている。

 

これは、神スサノオが八頭八尾の龍蛇、ヤマタノオロチと戦い、その尾のひとつから神聖な刀を発見したという物語だ。その刀は、天皇から天皇へと受け継がれ、後に草薙剣(くさなぎのつるぎ)という名前がつけられ三種の神器のひとつになった。

 

ヤマタノオロチの尾から刀が発見されたという神話も、鋼鉄や刀の秘密を解くための隠喩(いんゆ)と考えられていると指摘する。

 

そして第2話で筆者は、伝統的な日本の鉄鋼、「和鉄」の生産拠点だった島根県雲南市周辺を訪ね、鋼を製錬する「たたら吹き」について学ぶ。製錬の守護神が祭られる神社にも足を運び、いにしえの時代を頭に描いていた。

 

最終回の第3話では、鎌倉幕府執権の北条義時との争いに敗れた後鳥羽上皇が島流しとなり、余生を過ごした隠岐島が舞台だ。朝廷と武家が衝突した日本の特異な時代、失意の中、流されたこの地で刀を鍛えたとされる後鳥羽上皇に思いをはせた。

 

鉄は、権力と威光を意味し、国家と同義であったからこそ、権威の象徴である刀と神話が生まれ、長く語り継がれてきたのかもしれない。神々が息づく「神の国」を訪ねたくなるのは、日本人だけではないのだ。JFでは、多くの人をひきつける日本刀と神話の魅力を発信していきたい。

 

(JAPAN Forward編集部)

 

 

※「日本を発信」シリーズは、産経新聞のオピニオン面に掲載された記事を転載しています。

 

 

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