ラグビー・ワールドカップ開幕まで1カ月 見どころを紹介

 

 

ラグビー・ワールドカップ日本大会のキックオフが近づいてきた。日本はもちろん、アジアで初のラグビーの祭典は9月20日の日本-ロシアで開幕する。

 

ホームユニオンと呼ばれる主要ラグビー国以外で初めて開催される大会だからこそ、ユニークさも格別だ。

 

最も注目されるのは、ホストカントリーとして出場する日本代表。過去の大会は、すべてプール戦敗退だが、4年前のイングランド大会では、優勝候補の南アフリカを破るなど3勝をマーク。母国のファンの応援を追い風に、初のトップ8入りの期待が高まる。

 

トンガ、南アフリカら多くの外国出身選手が揃う“モザイク・チーム”を率いるのは、ニュージーランド生まれのFLリーチマイケル。多くのメディアが、能力の高さの理由をキウイ(NZ人)だからと書き立てるが、本人は完全否定する。

 

「僕が来日したのは15歳。しかも、そのときはいいプレーヤーじゃなかった。僕は日本で育ったプレーヤーなんだ」

 

ワールドカップへ向けた代表合宿では、多くの外国出身の日本代表選手に、君が代の歌詞の意味や、日本の俳句を説明する。1000年を超える日本文化を理解することが、いままで以上に日本代表への誇りを高め、勝利にも通じると信じている。

 

12の試合会場で、最も注目されるのが岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムだ。名称に「復興」と名乗る通り、2011年の東日本大震災、そして想像を絶する津波に全てを流された悲劇からの復活への思いが込められている。震災当時は瓦礫の山だった土地に建てられた、まさにフィールド・オブ・ドリームス。釜石市では、悲劇から8年が経ち復興が進む街の姿と、いまだに残る天災の爪痕を見ることができる。今大会最小の16000席の小さな会場だが、「酒と、魚と、ラグビーの街」と名乗る釜石市民の、素朴だが温かいホスピタリティを味わえるはずだ。

 

ラグビー大国ではない日本でのワールドカップ。試合会場にも、その影響がある。日本代表やオールブラックスという人気チームが会場とする大型スタジアムの大半は、陸上トラックを持つ。ピッチとスタンドに距離があるため臨場感が薄らぐ会場もある。カードにとらわれず、観戦に最適という基準でお勧めスタジアムを挙げてみよう。

 

臨場感ナンバーワンは、先に書いた釜石鵜住居復興スタジアム。埼玉・熊谷ラグビー場も、ピッチの近さは負けていない。臨場感+ゴージャスなのは、愛知・豊田スタジアム。球技専門スタジアムでは日本で2番目に多い45000人を収容する。テント素材の開閉式屋根もユニークだ。

 

日本らしいハイテクを経験するなら、北海道・札幌ドームだ。屋根は固定されているが、この野球兼用のスタジアムはピッチが動く。野球の場合は人工芝のピッチを使うが、ラグビー、サッカーで使用するときは、人工芝のピッチが電動で動き、屋外にあった天然芝のピッチがスライドしてドームの床にセットされる。おそらく世界にも類のない構造のスタジアムでの観戦を、ぜひ楽しんでほしい。

 

筆者:吉田宏(ラグビー・ジャーナリスト)

 

 

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Hiroshi Yoshida

Author:

Hiroshi Yoshida is a freelance journalist on sports and rugby. Joining the Sankei Sports in 1989, Yoshida has been writing rugby stories since 1995. As a Sankei Sports reporter, he covered the Rugby World Cup for five consecutive games until the 2015 England. As a field reporter, he witnessed two of Japan’s big games: men’s football team’s win against Brazil at the Atlanta Olympic Games in 1996 and the victory against South Africa at Rugby World Cup 2015. He left Sankei in April 2019.

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