鳥取県民はピンクのカレーを食べる

 

 

「鳥取県民はピンクのカレーライスを食べている」-。そんな話が東南アジアのタイを中心に広がっている。きっかけは、鳥取市の食品会社が平成24年から販売する鮮やかなピンク色のカレー。見た目と味のギャップが楽しめるとして、インバウンド(訪日外国人客)に話題となっている。

 

 

きっかけは「まんが王国」

 

ピンクのカレーを販売するのは、従業員約20人の食品会社「ブリリアントアソシエイツ」(鳥取市)。看板商品の「ピンク華麗」は、奇抜な色合いだが、口に入れるとスパイスが効いた本格的なカレーだ。

 

開発のきっかけは、漫画で地域振興を図る鳥取県のプロジェクト「まんが王国とっとり」。「ゲゲゲの鬼太郎」や「名探偵コナン」が有名なまんが王国の未来を考えながら、同社の福嶋登美子社長が「女の子のキャラクターが足りない」とひらめいたことだった。

 

それならばと、鳥取市の国指定重要文化財・仁風閣をモチーフに「とっとり山の手物語 華貴婦人」という漫画を自主制作。登場する貴婦人の4姉妹を商品のイメージキャラクターにした。さらに、鳥取は1世帯あたりのカレールーの消費量が全国1位になったこともある。福嶋社長は4姉妹のキャラクターに合うカレーの色として、ピンクを取り入れることにした。

 

 

秘密はビーツ

 

鮮やかなピンク色は、ロシア料理「ボルシチ」に使われる野菜「ビーツ」を活用。当時県内ではビーツが生産されていなかったため、地元農家に依頼して作ってもらったという。

 

そして同社が運営する古民家カフェ「大榎庵」(鳥取市)で提供したところ、強烈なインパクトが話題を呼び、あっという間に人気メニューに。「土産にしたい」という要望に応えて2年半かけてレトルト商品にした。

 

「昔から持ち物にピンクが多かった」という福嶋社長。ピンク好きが高じて、第2弾として27年には「世界初」となるピンクのしょうゆを発売した。しょうゆを見ながら「これがピンクだったらきれい」と思いついたという。

 

その後もマヨネーズ、わさび、コーヒー、日本酒、珈琲ジェラートなど次々にシリーズを広げ、話題をふりまいている。

 

 

ルクセンブルクの大使館でも

 

2月12日には鳥取市に同社のピンク商品の開発を行う拠点施設「マリンフィールド・ラボ」を開所。大型キッチンを備え、インバウンドがすし作りを体験できるようにもした。開所式に出席した鳥取県の平井伸治知事も「鳥取のカレーはピンクだと大きな誤解を生み、海外から観光客が訪れるようになった」と独特の表現で喜んだ。

 

ピンクカレーを食べるために「大榎庵」を訪れるインバウンドの約7割がタイからだ。テレビ番組での紹介をきっかけに、口コミや会員制交流サイト(SNS)で人気が広がったという。福嶋社長は「タイはグリーンカレーを食べるのでピンクにも抵抗がなかったのでは」と分析する。

 

ピンクの日本酒が「乾杯酒に合う」と、海外でのイベントに招かれる機会も増えた。ルクセンブルクの日本大使館で開かれる天皇誕生日を祝うレセプションで日本酒とピンクカレーを提供する。

 

福嶋社長は「ちょっと違ったPRをすると違う広がりをする」と“目を引く”事業展開への手応えを感じている。

 

 

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