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臆病なシカ、発情期の秋はオスの「角攻撃」に注意を 全国で野生増加…京都では死亡事故も

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東大寺でくつろぐ鹿(Wikimedia Commons)

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雄のみ1年ごとに生え変わり、力の象徴や縁起物としてあがめられてきたニホンジカの角。発情期の秋には、雌を巡って雄同士が角を突き合わせて戦うことでも知られる。そんなシカに角で突かれたとみられる男性の死亡事故が今月、京都府内で起きた。シカは本来臆病な性格で「不幸な条件が重なったのでは」と専門家。ただ全国的に野生のシカは増加傾向にあり、注意が必要だ。

 

 

棒状の傷が心臓付近まで

 

「近所の人が農作業から帰ってこない」。9日夜、京都府福知山市の住民から110番があった。京都府警福知山署によると、同市下天津の男性(68)はこの日、昼過ぎに1人で草刈りに向かったという。所有する田んぼの周辺では男性の車も確認された。

 

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警察や消防が捜索を開始。午後8時10分ごろ、田んぼの中で上半身から血を流して倒れている男性が見つかった。すでに死亡しており、棒状のもので刺された胸の傷は心臓付近まで達していた。

 

<田んぼで男性死亡、シカに突かれたか>

 

翌10日夕、男性の死は衝撃的なニュースとなって報じられた。福知山署によると、「シカ犯行説」の根拠となったのは消防署員の目撃情報だ。田んぼでは発見当時、角の生えたシカ1頭が現場から逃げたという。

 

襲撃の瞬間を見た人はいなかったが、衣服には動物の毛が付着。周辺にシカのものとみられる足跡も見つかった。田んぼはシカよけのフェンスで囲まれているが、2カ所ある出入り口から侵入したとみられる。

 

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遭遇すれば突かれにくい姿勢を

 

「珍しいことだが、この時期ならあり得る」。動物の生態に詳しい長岡技術科学大の山本麻希准教授はこう語る。山本氏によると、シカは9月下旬~11月ごろが発情期。硬化した角先を木にこすりつけてとがらせ、最も攻撃的になる。

 

過去の同種事故も発情期に起きている。

 

島根県飯南町で昨年10月、飼育施設で倒れている男性が見つかり、搬送先の病院で死亡した。飼育していた雄ジカの角に血が付着しており、襲われた可能性がある。宮城県牡鹿町(現石巻市)では平成14年10月、シカよけネットに引っかかった雄ジカを逃そうと近づいた男性が角で足を突かれ、出血多量で死亡した。

 

「シカは普段、どちらかというと臆病な性格。襲ってくるような動物ではない」(山本氏)。ただ、シカなどの野生動物は朝夕が最も活動的で、音が鳴るものなどを携帯せず農地に行くと遭遇するケースが珍しくない。

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仮に角の生えた攻撃的な雄ジカと遭遇した場合、物陰に隠れたり、寝そべったりし、角に突かれにくい姿勢を取ることが重要だという。

 

 

過去40年間で分布域2・7倍に

 

シカは全国的に増え、農作物の食害もあって社会問題化している。環境省によると、昭和53年度~平成30年度の40年間でシカの分布域は約2・7倍に拡大。強い繁殖力や餌を選ばないことのほか、狩猟者の減少などが原因とみられる。

 

今回のように農地でシカなどの野生動物にどう備えればいいのか。山本氏は「動物は学習能力が高い。地形や気候、その地域で出没する動物などに合わせた柵を設置することが大切だ」と話している。

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筆者:入沢亮輔、森天音(産経新聞)

 

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