~~
2025年大阪・関西万博開幕まで500日を切った。前売り券の販売がスタートし、会場の主要施設の概要が発表された。愛称の公募も始まった。
日本国際博覧会協会は2820万人の来場を見込んでいる。だが、国民の関心は依然低調だ。海外パビリオンの準備の遅れや費用の膨張などの問題が連日取り沙汰されているからだろう。
政府は国民の不安に丁寧にこたえる必要がある。何のための万博なのかを改めて説明するとともに、機運醸成に向け、積極的に魅力を発信すべきだ。
大阪・関西万博は令和7年4月13日、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪湾の人工島・夢(ゆめ)洲(しま)(大阪市)で開幕する。現時点で159カ国・地域が参加予定だ。100を超えるパビリオンの設置が計画されており、政府は経済波及効果を約2兆円と見込む。
オンライン空間に3次元CGでバーチャル会場が再現され、リアルとバーチャルを融合したイベントの構想もある。コンセプトの「未来社会の実験場」が世界中から集まり、現出する場となるだろう。
だが、準備の遅れもあって、そうした内容や魅力が国内外には十分に伝えられていない。費用の膨張が相次ぎ、機運に水を差しているのが実情だ。
当初、約1250億円だった会場建設費は3年前に1850億円に増額され、先月には資材や人件費高騰などで2350億円に上振れした。そのような中で、会場建設費とは別に837億円の国費負担があることも明らかになった。
内訳はパビリオン「日本館」の建設費や発展途上国の出展支援、警備、機運醸成に向けた費用だ。このほかシャトルバスなどの関連インフラ整備費が膨らむことも予想される。
万博の総経費が示されていないため、国費負担の全体像はいまだ不透明だ。岸田文雄首相は国会で「全体像を透明性をもって国民に示すことは重要だ」と述べた。その言葉通り、政府は大枠をきちんと示し、説明を尽くす必要がある。
国として立候補した万博には日本の威信がかかっている。中止や延期はあり得ない。世界が心を合わせて未来社会の姿を描く万博を、成功に導かなければならない。
◇
2023年12月2日付産経新聞【主張】を転載しています