~~
令和6年度予算の成立を受け、後半国会が始まるが、課題は山積している。
まず「政治とカネ」を巡る問題がある。岸田文雄首相は会見で信頼回復に取り組む考えを示した。そのためには政治資金規正法の改正が不可欠である。
自民党は派閥パーティー収入不記載事件で処分を近く行う。国会は真相究明を引き続き進め、実効性のある再発防止策を講じるべきだ。
現行の規正法に違反しても、議員は会計責任者との共謀が立証されない限り、罪に問われない。これでは議員に対し違法行為の抑止力が働かない。
議員に直接責任を負わせることが分かりやすいが、最低でも連座制の導入は必要だ。
公明党や立憲民主党、日本維新の会などは連座制の導入を求め、首相は「議員本人の責任を強化する」と語っている。さまざまな条件をつけて骨抜きにすることがあってはならない。
透明性確保も問われる。政党から議員に支出される政策活動費の使途は公開すべきである。首相は慎重な構えを崩していないが、規正法に定める「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」との目的に照らせば、非公開では筋が通らないことは明らかだ。
原資が税金で国会議員に支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も使途公開が求められる。
報告書の検索や分析を容易にするデジタル化も重要だ。
後半国会の課題はほかにもある。安定的な皇位継承策の議論を大きく前に進めねばならない。男系(父系)継承を貫いてきた皇統を守るために、首相は指導力を発揮すべきである。
衆院憲法審査会が今国会で開かれていないことは問題だ。改憲原案の作成が急がれる。
安全保障に関する法案もめじろ押しである。日英伊3カ国による次期戦闘機共同開発の司令塔となる機関を設立するための条約案の承認は欠かせない。
経済安保上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る「重要経済安保情報保護・活用法案」や、食料安保の強化を図る「食料・農業・農村基本法改正案」などもある。いずれも国民の安心、安全に密接に関係してくる法案だ。少子化対策関連法案も含め、必ず成立させてもらいたい。
◇
2024年3月29日付産経新聞【主張】を転載しています