日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)後の共同記者会見
=7月29日、米ワシントン(共同)
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日米の外務・経済担当閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)の初会合が米国で開かれ、日米の主導により自由で開かれた国際経済秩序の形成を目指すことで一致した。
国際社会の平和や安全を脅かす中国やロシアなどに対抗するため、安全保障と密接に結びつく経済や先端技術の分野で日米が結束を強める意義は大きい。
外務・防衛担当閣僚による従来の枠組みに加えて経済版2プラス2を始動させたのは、そのための重要な布石だ。日米は合意事項の着実な進展を図り、欧州やアジアなどの民主主義国家を糾合するための基盤とすべきである。
日本側から林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米側からブリンケン国務長官とレモンド商務長官が参加し、協議の成果を共同声明や行動計画にまとめた。
半導体などのサプライチェーン(供給網)強化や先端技術の共同開発を含め、合意した事項は幅広い。先端技術では、人工知能(AI)などに活用できる次世代半導体開発で協力する。技術流出を防ぐ輸出管理でも連携する。
このほか、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」に沿って途上国を借金漬けにし、自らの影響力を行使していることを念頭に置き、公正で透明性のある開発金融を促進することも盛り込んだ。
岸田文雄政権は、先の通常国会で経済安全保障推進法を成立させたばかりだ。2プラス2で扱う分野には、同法と共通する部分が多い。対米連携との相乗効果で日本の経済安保の実効性がさらに高まることにも期待したい。
ロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー・食料危機は、経済面で強権国家に依存する危うさを改めて認識させた。特に日本は、他国への経済的威圧を強める中国が隣国だ。中国の恣(し)意(い)的な動きで対中経済が滞る政治リスクに備えるためにも、日米中心の経済圏を確立し、賛同する国・地域と連携することは喫緊の課題である。
5月には、米国の提唱で新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」が発足し、日米やアジアなどの14カ国が参加している。こうした多国間の枠組みを有効に機能させるには、中国依存から抜け出せない国を引き込む努力が必要だ。そのためにも、まずは日米がルールに基づく経済秩序づくりで連携を深めておきたい。
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2022年7月31日付産経新聞【主張】を転載しています