U.S. President Trump Visit to Japan Last day on Board of JSDF Kaga

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政府が米国と今年12月に合意予定の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)をめぐり、米側との交渉に臨む政府の対処方針が3月1日、明らかになった。日本に負担増を求めるトランプ米大統領が11月の大統領選で再選しなければ現行の負担内容を踏襲する。再選した場合、(1)大幅な負担増は拒否(2)自衛隊の米軍防護で作戦費負担を相殺(3)思いやり予算以外も包括的に調整-が対処方針の柱となる。

 

思いやり予算は日米両政府が5年ごとに特別協定を結び、日本側の経費負担を定めている。現行協定は来年3月に期限が切れるため両政府は夏頃から事務レベルで改定作業に入り、12月の日本の予算編成までの合意を目指し、日本政府は国会で承認を得る。

 

米政府は韓国との協議で今年の在韓米軍駐留経費について昨年の負担額の約5倍となる5千億円以上を要求し、負担割合を規定する米韓協定が昨年末に期限が切れても協議が続いている。日本政府高官によると米政府は朝鮮半島に半島外から航空機などを展開させる「作戦費」の名目で移動・訓練費や装備の整備・維持費、関係する米軍人の人件費を新たに負担するよう韓国政府に求めている。

 

米韓協議の内容を踏まえ日本政府は年明けから対処方針の検討に入った。駐留経費のうち日本の負担割合は7割以上で韓国やドイツより高く、財政事情も厳しい中、現行の思いやり予算を大幅に上回る負担増は非現実的で国民の理解も得られないと拒否し、極力、現行水準での合意を目指す。

 

作戦費の負担を求められれば、日本防衛に資する米軍の運用に限定して日本側が一定の負担をする新たな項目を思いやり予算に設けることに前向きな意見がある。一方、平成28年施行の安全保障関連法に基づき平時に自衛隊が米軍の航空機や艦艇を防護できるようになり、29年以降の防護実績は32件に上る。日本の新たな米軍運用支援として前面に掲げ、作戦費負担を相殺したい考えだ。

 

思いやり予算を現行水準にとどめれば金額を重視するトランプ氏は反発し、米軍運用支援にも理解を示さない恐れがある。それを念頭に訓練移転費なども負担する米軍再編関係費や、米国製の防衛装備品を購入する対外有償軍事援助(FMS)で合理的に金額を上積みできるカードをトランプ氏に提示できるよう思いやり予算以外も加えた包括的な調整に持ち込む。

 

 

日米同盟深化協議への分水嶺

 

日米交渉が夏頃始まるのを前に、政府が早々に対処方針の検討に着手したのは、トランプ米政権が駐留経費負担で強硬姿勢を貫いてくると警戒しているためだ。今回の交渉はその警戒感からトランプ氏への対応策に終始するのか、それとも日米同盟深化に向けた協議に進化させることができるのか分水嶺(ぶんすいれい)となりそうだ。

 

米側が作戦費の負担を求めてきた場合、思いやり予算の対象外だとして議論に応じない選択肢もある。ただ、ある日本政府高官は「労務費や光熱水費といった従来のカネだけの議論にとどめず、中国と北朝鮮の脅威に対処する自衛隊と米軍の一体運用を反映させる協議に進化させるべきだ」と強調する。

 

日米同盟のコストを単純にカネではなく自衛隊の運用で補っていく発想だ。米艦と米機の防護では十分とはいえず、日本が敵基地攻撃能力など打撃力の保有を視野に日米の「盾と矛」の関係の見直しに踏み出すことが「思いやり予算の改定を合理的に決着させる切り札となる」(別の高官)という。

 

筆者:半沢尚久(産経新聞)

 

 

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