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沖縄県議選で玉城デニー知事を支持する共産、立憲民主両党などの県政与党が敗北し過半数を割り込んだ。政権与党である自民、公明両党は公認候補が全員当選した。
自治体は首長と議会の二元代表制だ。玉城氏は結果を受け止め、基地問題などで政府への協力姿勢に転じてもらいたい。
県議会は改選前、共産など知事支持派の「オール沖縄」勢力が24議席、自民など不支持派が24議席と拮抗(きっこう)していた。今回選挙で支持派が20議席、不支持派が28議席となった。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する「オール沖縄」が県議選で過半数割れしたのは翁長雄志前知事が平成26年に同勢力を結集して以来初めてだ。これを機に、県の国への対決姿勢が改まることを期待したい。
何より大切なのは、県民の生命と財産を守るための方策に取り組むことだ。外交安全保障は国の専管事項であり、政府は沖縄を含む南西諸島の防衛力整備を進めているが、県の十分な協力が得られていない。
自衛隊や海上保安庁が円滑に利用できる「特定利用空港・港湾」の指定・整備もその一つだ。政府が沖縄で指定できたのは、自衛隊と海保が常駐する那覇空港と石垣港の2カ所のみだ。県内には下地島空港(宮古島市)などすぐにも活用できる施設があるが、県は頑(かたく)なに反対している。
中国は沖縄の島である尖閣諸島(石垣市)の領有を唱え、海警局船の領海侵入が相次いでいる。中国側の主張では尖閣諸島は台湾省の島だ。彼らからすれば、中台統一は尖閣諸島を日本から奪わないと完成しない。台湾有事の際に沖縄が攻撃される恐れは高い。玉城氏は有事の住民避難計画策定や地下シェルター(避難施設、防空壕(ごう))の整備などで、国に全面協力すべきである。
県議選の結果を受け、玉城氏は「真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べたが、辺野古移設への反対は「揺るがない」と語った。この発言にはうなずけない。反対一辺倒で「真摯」といえるのか。
辺野古移設は、普天間飛行場周辺の県民の命を守り、日米同盟の抑止力を保つ方策である。県議会の自民、公明議員も国と県の協力を促してほしい。
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2024年6月18日付産経新聞【主張】を転載しています