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"The Googleplex," Google's international headquarters in Mountain View, California. (©Kyodo)
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公正取引委員会が米グーグルに対し、独占禁止法に基づく行政処分を科した。公取委によるグーグルへの行政処分は初めてとなる。
LINEヤフーのデジタル広告配信事業を一部制限したとして調査を進めていた。
これを受け、グーグルは独禁法の「確約手続き制度」に基づき、違反行為を自主的に取りやめ、再発防止を確約する改善計画を提出した。
公取委は改善計画に実効性があり、履行されれば競争環境が確保されるとして、計画を認めた。確約手続きでは公取委による計画の認定が行政処分となる。
競合相手や取引先の事業を制限する不正行為は、公正な競争環境をゆがめ、悪質である。行政処分を科されるのは当然だ。グーグルは自らの行為を真摯(しんし)に反省し、改善計画に沿って公正な競争が維持されるよう努めなければならない。
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問題となったのは「検索連動型広告」と呼ばれるサービスだ。検索サイトで語句を入力すると、関連した広告が表示される。この分野でグーグルは現在7~8割のシェアを持つが、競合相手であるヤフーに対し、この広告をやめるように要求したという。
ヤフーは競合相手であるだけでなく、グーグルから広告配信技術の提供を受けている。要求を断れば、配信技術だけでなく、グーグルの検索エンジンも使えなくなることを懸念し、要求を受け入れざるを得なかったとされる。
競合相手の排除でグーグルが広告費をほしいままに設定できるようになれば、広告費の上昇を通じて商品やサービス価格が上昇する可能性があり、消費者の不利益になる。
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公取委は昨年10月、グーグルの検索システムについても審査を始めたことを公表している。同社の検索アプリが有利になるよう、スマートフォン端末メーカーに不当な働きかけをしていた可能性があるとみている。
グーグルや米アップルなどを念頭に、公取委はスマホのアプリストアや決済システムの運営を他の事業者に開放するよう義務付ける規制法案を、今国会に提出する方針だ。巨大IT企業に対する監視を強め、デジタル市場の健全な競争促進につなげてほしい。
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2024年4月18日付産経新聞【主張】を、一部情報を更新して転載しています