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新型コロナウイルスの感染が全国で広がっている。
夏と冬に大きな流行を引き起こす傾向にあり、今回の流行は、今年の1~2月に続く第11波にあたる。
お盆のシーズンには遠隔地への移動が本格化する。予防に努め、体調が悪いときは帰省や旅行は控えることを徹底したい。
全国に約5千ある定点医療機関からの報告によると、1医療機関あたりの感染者数は、21日までの1週間に13人を超えた。11週連続の増加で、特に九州、沖縄で患者が多い。
新型コロナの感染症法上の位置づけは昨年5月に5類に引き下げられたが、高齢者や基礎疾患のある人には、引き続き注意が必要である。暑さで体力も消耗する時期だ。十分な睡眠や水分、栄養を取ることで基礎体力を維持することも大切だ。
流行しているのはオミクロン型の「KP・3」と呼ばれるタイプだ。重症化の度合いは、従来のタイプと変わらないとされるが、ワクチンなどで獲得した免疫が働きにくい。感染力は強く、油断は禁物である。
夏に流行するのは、閉め切った屋内で過ごすことが多くなるせいだ。熱中症を防ぐためにエアコンは必須だが、同時にこまめな換気が必要である。混雑した場所でのマスク着用、手洗い、手指消毒など、日々の感染対策に緩みが生じていないか確認すべきだろう。
特に感染防止に注意してほしいのが高齢者の多い介護施設だ。クラスターになると被害が大きくなる。日頃から医療機関から感染指導を受け、発生時には往診してもらう態勢を築いておくことが求められる。
こうした連携の構築には今春から、医療機関と介護施設の双方に手厚い報酬がつくようになった。厚生労働省は報酬設定をして終わりにせず、都道府県とともに連携の進捗(しんちょく)を確認してもらいたい。
流行している感染症は新型コロナだけではない。子供の夏風邪の代表である手足口病は過去10年で最多のペースで推移している。同じくヘルパンギーナや咽頭結膜熱なども拡大中だ。
アルコール消毒は効きにくいが、せっけんでの手洗いは有効である。大人が子供からうつって重症化するケースもある。家庭内でタオルを共有しないようにするなどの対応が必要だ。
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2024年7月29日付産経新聞【主張】を転載しています