Time is of the Essence in Preparing Sapporo for 2020 Olympic Marathon

 

 

レースの実施場所をめぐって混乱した2020年東京五輪のマラソン・競歩は、国際オリンピック委員会(IOC)の提示した札幌開催でまとまった。

 

東京都、大会組織委員会、国、IOCの責任者による4者協議で、小池百合子都知事は「あえて申し上げるなら合意なき決定だ」と述べ、最後までIOCへの不満を隠さなかった。

 

札幌市には毎年8月の北海道マラソンの開催実績があるが、関心の高さは五輪の比にならない。沿道に詰めかける観衆の安全をどう確保するのか。警備態勢の再構築やボランティアの確保はできるのか。一日も早く計画を固めて、開催準備を進めてほしい。

 

札幌は平均気温も湿度も東京より低いものの、トップランナーが出場する冬場のレースに比べれば明らかに高い。近年の異常気象を考えれば、涼しいと見込まれるレース当日の気温も当てにならない。「選手第一」を掲げるなら、東京と同様の暑さ対策を講じるのが筋だろう。

 

札幌開催で生じる余分な費用について、都は追加負担をしないことになった。当然である。「花形種目」のマラソンは、レースを通じて東京の街の魅力を世界に発信する好機でもあった。それを一方的な発表でほごにしたIOCは、費用負担の面でも相応の責任を負うべきである。

 

何より、新国立競技場で満場の観衆に迎えられてゴールすることを願う日本代表選手に、謝罪がないのはおかしい。

 

コースは北海道マラソンがベースになるとみられ、国際陸連は、現行計画で別の日に組んでいたマラソン・競歩の計5種目を、3日間にまとめて実施する意向だ。新国立競技場でトラック、フィールド種目が始まる前の7月下旬と、大会終盤の8月7~9日が有力という。日本側の意向が反映されるべきなのは言うまでもない。

 

小池知事は、夏季五輪の前提となっている7、8月の開催について「北半球の都市のどこをとっても過酷になるといわざるを得ない。アスリートファーストであるならば、その観点からもよく考える必要がある」と問題提起した。本来なら、競技の現場からなされるべき指摘だ。日本オリンピック委員会(JOC)をはじめ、日本スポーツ界の当事者意識の薄さもまた深刻である。

 

 

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