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In this March 16, 2020, file photo, Neal Browning receives a shot in the first-stage safety study of a potential vaccine for COVID-19 at the Kaiser Permanente Washington Health Research Institute in Seattle. Moderna Inc., said Monday, Nov. 16, its COVID-19 vaccine is proving to be highly effective in a major trial. (AP Photo/Ted S. Warren, File)

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新型コロナウイルスワクチンの接種履歴を示す証明書「ワクチンパスポート」の申請受け付けが7月26日から始まった。

 

個別申請に基づいて発行し、一部の国・地域に渡航した際にこれを提示すれば入国後の隔離期間が免除・緩和される。

 

政府は、イタリアやオーストリアなどでの使用を皮切りに、使用できる国・地域を広げる考えだ。渡航の安全を担保する上で証明書が有効に活用されるよう期待したい。

 

ただし、政府は国内での運用には慎重だ。なぜ使途を渡航目的に限定するのか。社会・経済活動を安全に再開させるためにも多様な利用法を考えるべきである。

 

ワクチン接種を証明するものとしては、ワクチンパスポート以外にも、接種時に交付される接種済み証がある。だが、これを活用して活動再開へとつなげる仕組みも同様に整っていない。

 

これでは、いくらワクチン接種が進んでも先行きへの期待を持ちにくい。ワクチンパスポートでも接種済み証でもいい。政府は早急に、これらを国内で効果的に活用する手立てを講じるべきだ。

 

接種の証明を幅広い目的で使いたいという要望は強い。経団連はイベントの入場、国内ツアーの参加、介護施設や医療機関での面会などで、人流の制限緩和に活用できると提案している。活動再開への安心感が広がれば、ワクチン接種への理解もさらに深まろう。

 

加藤勝信官房長官はワクチンパスポートの発行に関連し、「接種の強制、接種の有無で不当な差別が生じることは適切ではない」と述べた。これが国内運用に二の足を踏む主な理由なのだろう。

 

ワクチンを打たない判断は、もちろん尊重されるべきだ。健康状態などを踏まえて接種したくてもできない人もいるだろう。

 

だが、有事対応でいたずらに公平性にこだわることこそ適切ではない。接種していない人には検査など代替案の利用を検討する。そうした方策も併せて考えることが重要である。大切なのは、コロナ禍でも安心して活動できる環境を作ることである。

 

海外では、証明書の運用が一足早く始まっている。欧州連合(EU)は7月から域内共通のデジタル証明書の運用を始めた。日本でも、証明書を効率的に運用できるよう電子媒体での発行も同時に急がなくてはならない。

 

 

2021年7月26日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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