MHLW Ministry of Health Labour and Welfare

Exterior of Central Government Bldg. No.5 in Tokyo, which houses the Ministry of Health, Labor and Welfare. (©The Sankei Shimbun)

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厚生労働省は、特定技能や技能実習などの在留資格で働く外国人の介護職が、訪問介護に携われるようにする方針だ。

 

有識者の検討会が報告書をまとめた。早ければ令和7年度にも実施する。

 

外国人介護職はこれまで、日本人の訪問介護職と同じ研修を修了していても、訪問介護に携わることは認められていなかった。訪問介護を行うにはより高度な介護福祉士の資格取得が必要だった。

 

特別養護老人ホームで介護福祉士候補として働くベトナム人女性ら=2018年9月12日、横浜市瀬谷区(王美慧撮影)

 

利用者の自宅で原則1対1で行う訪問介護は、個々人の身体の状況や生活実態に即した対応が不可欠だ。利用者によって介護の手順や方法が違うため、施設での介護に比べて、日本語による意思疎通が要求される。要件を厳格にしていたのは、こうしたことが背景にある。

 

一方で訪問介護の現場は、介護事業の中でもとりわけ人手不足感が強く、事業者から外国人介護職による訪問の要件緩和を求める声が上がっていた。

 

利用者にとっても働く人にとっても、安心できる環境を整えて実現したい。

 

外国人材についても、日本人と同じ要件で訪問介護ができるようにしたのは妥当だ。日本語による円滑な意思疎通や、生活習慣に対する十分な理解も必要である。

 

介護にあたる外国人技能実習生=2018年12月7日、滋賀県彦根市(清水更紗撮影)

 

厚労省は事業者に、訪問に赴く外国人介護職に利用者との意思疎通や、日本の生活様式などに関する研修を実施させる方針だ。訪問時の緊急対応のためのタブレット端末やデジタル技術の整備なども求める。事業者任せにせず、指針を定めるなど実効性を担保する必要がある。

 

事業者は実用的な指導をしてもらいたい。最初は経験豊富な介護職が同行するなどの取り組みも進めるべきだ。

 

介護従事者の安心を確保することも怠ってはならない。訪問先でのハラスメント対策などは徹底すべきだろう。

 

65歳以上の高齢者がほぼピークを迎える令和22年度には、介護職は全国で約272万人が必要になる見通しだ。4年度と比べて約57万人不足する。

 

厚労省は訪問介護だけでなく、介護全般に関し人材をいかに確保するかについて、もっと知恵を絞らなければならない。一層の処遇改善を含めた抜本的な対策を急ぎ検討することが求められる。

 

 

2024年7月22日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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