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日米との安保協力を進める尹錫悦政権の韓国が、来年1月からの2年間を任期とする国連安全保障理事会の非常任理事国に選ばれた。
現在、非常任理事国を務める日本の任期は来年末までだ。このため、2024年は常任理事国の米国を含め、日米韓3カ国が安保理に同時に在席して活動する年になる。
核、ミサイル開発を強行する北朝鮮に対し、日米韓3カ国は頻繁に協議や公開会合を開催して、国際社会にその危険性を訴え続ける必要がある。常任理事国の英仏とも協力し、北朝鮮に翻意を促していくべきである。
1991年に北朝鮮とともに国連に加盟した韓国は、これまでに2度、非常任理事国を務めた。外務省によると、日米韓が安保理で任期をともにするのは97年以来という。
北朝鮮のミサイル発射に対し、安保理の動きは当初鈍かった。93年に準中距離弾道ミサイル「ノドン1号」が発射されたときには招集されず、98年の「テポドン1号」では「遺憾」の報道声明を出しただけだった。安保理で初めて対北決議が採択されたのは、弾道ミサイル連続発射と最初の核実験が行われた2006年だ。
安保理は、ロシアのウクライナ侵略で分断が決定的になる前までは、10本の制裁決議を採択するなど、対北ではおおむね一致した行動をとってきた。最近は、中国とロシアが露骨な北朝鮮擁護に回り、声明すら出せていない。
この現状に対し、朝鮮半島の安定に直接的に関わる日米韓が声を合わせ、安保理の議論を主導していくことは重い意味を持つ。
拉致問題での協力にも期待したい。米政府高官は、5月に訪米した拉致被害者家族会のメンバーに安保理で拉致問題を取り上げたいとの意向を明らかにした。
韓国はこれまで、「南北対話の障害になる」と拉致問題の対応に消極的だった。しかし、尹氏は拉致問題解決を重要課題とし、日本との協力にも意欲を示す。
中露は安保理で人権問題を扱うことに反対するが、「人権と安全保障は不可分」との認識は国際社会にすでに浸透している。専制国家による、組織的で継続的な人権侵害は、安保理でも非難の対象になることを訴えるべきだ。対北で成果をあげるための準備を、3カ国は早速始めてほしい。
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2023年6月19日付産経新聞【主張】を転載しています