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朝鮮学校に対し、令和4年度に補助金を支出した全国の自治体は計93に上った。初めて100自治体を下回ったものの、依然として計2億3千万円超の公金が使われていた。
朝鮮学校は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の強い影響下にあり、北朝鮮の独裁体制礼賛の教育や不適切な学校運営が問題となってきた。それに目をつぶる税金投入をやめるべきだ。
朝鮮学校は学校教育法に定められた小中高校などと異なり、都道府県が「各種学校」として認可している。市区町を含めた自治体が学費補助などのかたちで助成する例があり、文部科学省の内部資料では4年度は愛知、兵庫など10道府県と京都市、横浜市など83市区町が補助金を出していた。
平成23年度には22道府県、132市区町が支出しており約10年で約4割減少したが、いまだに補助金を出す自治体が少なくないことに首をひねる。
国の高校授業料無償化政策を巡り政府は、朝鮮学校を対象外とした経緯がある。自治体の補助金についても文科省は28年、「朝鮮総連が教育内容、人事、財政に影響を及ぼしている」とし、妥当性を検討するよう通知している。
すでに東京都や大阪府は独自の実態調査を行い、補助金を打ち切った。教科書に独裁体制礼賛の記述が頻繁に出てくることや、朝鮮総連が学校施設の一部を無償で使うなど不適切な学校運営が確認されたためだ。拉致問題を教科書に記述するなどの条件をつけたが是正されず、助成をやめた自治体もある。
朝鮮学校がいまも朝鮮総連の影響下にあるのは明白だ。総連運営の動画サイトで昨年5月に行われたという朝鮮学校の創立記念式典で、会場に故金日成、金正日父子の肖像画が掲げられ、総連幹部が祝辞を読み上げる映像が公開されていた。
北朝鮮は、非道な日本人拉致問題を解決しようとしていない。核兵器開発を進め、弾道ミサイル発射で軍事的緊張を高めている。
「子供に罪はない」として補助金支出を正当化するのは誤りだ。保護者への学費補助が「寄付」の形で朝鮮学校側に徴収される不透明な問題も起きている。公金支出は独裁体制を利することに等しく、子供のためにならないのである。
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2024年3月12日付産経新聞【主張】を転載しています