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Free discussion during a June 13 meeting of the Commission on the Constitution of the House of Representatives, with commission chair Eisuke Mori shown in the center. (©Sankei by Ataru Haruna)
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国会会期末が6月23日に迫っている。安定的な皇位継承に向けた皇族数確保に関する各党派の意見集約や、憲法改正の条文案作成を今の会期内に済ませるのは困難な状況だ。
いずれも国の根幹に関わる重要な課題で、次の国会に先送りしていいわけがない。会期を延長して国会を機能させ、前進を図らなければならない。岸田文雄首相と自民、公明両与党の決断を求めたい。
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上皇陛下の譲位特例法制定時の国会の付帯決議は政府報告を受け、「安定的な皇位継承を確保するための方策について『立法府の総意』をまとめる」とした。額賀福志郎衆院議長と尾辻秀久参院議長の下で、与野党協議が始まっている。皇統の最重要原則である男系(父系)継承という「歴史と伝統」を踏まえた合意形成が望まれる。
政府報告書は、皇族数確保策として①女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持②養子縁組による旧皇族の男系男子の皇族復帰―などの案を示した。自民、公明、日本維新の会、国民民主党、有志の会など多数の党派が①②案の実現を求めている。特に、安定的な皇位継承には②案の実現が欠かせない。
立憲民主党は、先例の全くない非皇族男子の夫と子の皇族化を伴う「女性宮家」は皇位継承の原則を損なう点に気付き、合意形成に協力すべきである。
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自民は13日の衆院憲法審査会で、選挙困難時の国会議員の任期延長に関する論点整理を示した。改憲案のたたき台である。改憲に前向きな公明、維新、国民民主など4党派と調整して提示したものだ。
会期延長を実現し、起草委員会を設けて改憲条文案を作成すべき時だ。南海トラフ巨大地震や首都直下地震や有事、テロへの備えは急務である。緊急政令や緊急財政処分の創設も合意し条文化してほしい。
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日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。現憲法に国防規定がなく、多くの憲法学者が自衛隊違憲論を唱える異様なありさまを改めるべきで、それには最低でも自衛隊明記が必要だ。
立民は「政治とカネ」をめぐる問題を理由に、国会での改憲論議にブレーキをかけようとした。これは国会の役割放棄を唱えるに等しい。自民など改憲に前向きな党派はひきずられてはならない。
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2024年6月18日付産経新聞【主張】を転載しています