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2月22日は「竹島の日」だ。日本固有の領土である竹島(島根県隠岐の島町)が韓国に不法占拠されてから今年で70年になる。
竹島は北方領土と並んで返還を必ず実現しなければならない日本の島だ。韓国は日本に謝罪し、返還すべきである。
日本政府は返還に向けた外交、運動を全力で展開しなければならない。だが、そうなっていないのは残念だ。
北方領土の日(2月7日)は政府が制定し、東京での返還要求大会には首相や関係閣僚が出席している。一方、竹島の日は島根県が平成17年に条例で制定したものだ。松江市で毎年開かれる県主催の式典には、政府から内閣府政務官が出席するにすぎない。返還運動に取り組む県関係者の努力には敬意を表するが政府の姿勢は弱すぎる。
竹島は江戸時代から漁業中継地として日本人が利用していた。政府が竹島を島根県に編入したのは明治38年2月22日のことで、当時どの国からも抗議はなかった。昭和26年9月調印のサンフランシスコ平和条約は日本に竹島放棄を求めなかった。国際社会は日本領と認めていたのである。
ところが日本が先の大戦に敗れ占領されていた27年1月、韓国は日本海に沿岸水域の主権をうたう「李承晩ライン」を突然設定し、竹島をその中に取り込んだ。日本が独立を回復する直前をねらった火事場泥棒的な主権侵害である。
韓国は、29年6月には沿岸警備隊を竹島に上陸させ、以来約70年も不法占拠を続けている。29年8月には竹島から海保巡視船に約200発もの銃撃を浴びせた。
安倍晋三政権(当時)は平成25年2月に閣議決定した答弁書で「竹島の日」を政府制定にすることを検討するとした。自民党は24年衆院選で、竹島についても政府主催の式典開催を公約した。だが、いずれもうやむやになってしまった。
政府の腰の定まらない対応が北朝鮮をにらんだ韓国への配慮だとしたら筋違いも甚だしい。対日関係改善を目指しているという尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の下でも韓国軍は竹島周辺で演習を実施した。主権侵害が続く現状から目をそらしてはならない。政府は竹島を取り戻すためにもっと努力すべきである。
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2024年2月22日付産経新聞【主張】を転載しています