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欧州連合(EU)が臨時首脳会議で、ウクライナに対し今後4年で500億ユーロ(約8兆円)の資金支援を実施する予算を決めた。
ロシアに融和的で支援に反対していたハンガリーを説得し、EU加盟27カ国が全会一致で合意した。
巨額支援を評価したい。ロシアの侵略に抗戦するウクライナを資金面から支え、専制主義から自由と民主主義を守る意義がある。
EUのミシェル大統領は「EUはウクライナ支援でリーダーシップを発揮している」と表明した。
オンラインで臨時首脳会議に参加したウクライナのゼレンスキー大統領は「軍事支援や対露制裁に勝るとも劣らず重要だ」と述べて歓迎した。
資金支援の決定は昨年12月、ハンガリーが拒否権を行使して先送りされた。だが、EUはハンガリーへの補助金の凍結などをちらつかせ翻意を迫り、合意にこぎつけた。
EUは、制裁で凍結したロシア中央銀行の資産から今後生じる利子をウクライナ支援に活用する方針を打ち出した。凍結資産自体の没収は国際法違反の懸念があり、利子に着目した。ウクライナの防衛や復興に役立たせることは妥当である。
EUは長期的で揺るぎない援助を継続し、「支援疲れ」の懸念を払拭してもらいたい。
バイデン米大統領はEUの巨額支援を「歴史的な決断」と称賛した。侵略者ロシアが居座り続ける中、ウクライナが自由と国土を取り戻すには米国の支援が欠かせない。米議会でウクライナ支援に消極姿勢をとっている共和党は、約610億ドル(約9兆円)の支援案を承認すべきである。
ウクライナはロシアによる侵略前から汚職体質が指摘されていた。ロシアはウクライナ支援が横流しされているというプロパガンダ(宣伝)を展開している。ゼレンスキー政権はこれまで以上に自らを律し、支援側の信頼を得なければならない。
ウクライナ情勢と台湾などインド太平洋の情勢は連動している。日本は自国と地域の平和と安定のためにも、ウクライナ支援と対露制裁に取り組む必要がある。19日に東京で開催される「日ウクライナ経済復興推進会議」は日本の貢献を示す重要な機会である。
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2024年2月4日付産経新聞【主張】を転載しています