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Marie Claude visiting from Switzerland at specialty store Musubi. She now uses furoshiki instead of wrapping paper. (©Sankei by Hirofumi Kakihira)
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一枚の布がカバンや敷物にと、その姿を自在に変える。ふろしきは、物の大きさや形を問わず、工夫次第で何でも包める〝魔法の布〟だ。漢字で風呂敷と書くのは室町時代、お風呂に敷いて使っていたのが由来という説もある。
繰り返し使えることから環境にやさしいと再評価が進む。日本人はもちろん外国人からも注目を浴びていると聞き、京都を訪ねた。
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京都市中京区の専門店「むす美」で開かれたワークショップ。包み方を対面で学べるとあって人気を集める。
「くるくる巻いて、巻き終わりの先端を瓶の底で挟むように」
「あれー難しいな…。できたー」。参加者から声があがる。
京都市中京区の六山瑛(むやまはな)さん(8)は「日常生活でもいろいろ使えるのが分かった。水をはじくふろしきを買ったのでスイミングバッグの代わりに使いたいな」とうれしそう。
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カラフルなふろしきが並ぶモダンな店内には外国人も多い。「世界で環境問題に対する意識が高まる中、SNSでの発信や報道のおかげでふろしきのよさを知ってもらえました」と話すのは、広報担当の山田悦子さん(60)。
今では5割ほどが外国からの観光客といい、スイスから訪れたマリー・クロードさん(64)は「前は紙を使っていたけれど、今はサクラ柄のふろしきを繰り返し使っています。品があってとても美しいですね」と笑顔を見せる。
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ふろしきを普段使いしているという中村剛介(こうすけ)さん(23)と街中を歩いた。ふろしきのかばんは京都の街並みにとけ込み、型崩れする気配もない。「今秋、イギリスの大学院に通います。寮住まいなので、ふろしきをきっかけに文化交流できたらいいですね」と話す。
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包むものによって、自在に姿を変える魔法の布。すべてをマスターするのは大変そうだが、取りあえずカメラバッグに一枚入れておこう。コミュニケーションの道具にもなりそうだ。
筆者:柿平博文(産経新聞写真報道局)