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クラシック音楽界の世界的指揮者で、第23回高松宮殿下記念世界文化賞受賞者の小澤征爾(おざわ・せいじ)さんが2月6日、心不全のため東京都内で死去した。88歳。葬儀は近親者で執り行った。後日、お別れの会を開くことを検討している。
昭和10年、旧満州国奉天(現・中国瀋陽市)生まれ。幼いころからピアノを学び、桐朋学園で指揮者の斎藤秀雄に学んだ。34年、23歳で渡欧。若手指揮者の登竜門、仏ブザンソン国際指揮者コンクールに優勝し、カラヤンやバーンスタインら巨匠の薫陶を受けた。
その後、ニューヨーク・フィルハーモニック副指揮者、トロント交響楽団音楽監督などを歴任。1973(昭和48)年に米国の5大オーケストラの一つ、ボストン交響楽団の音楽監督に就任し、2002(平成14)年まで29年間務め、その名を世界に広めた。
同年、オペラの最高峰であるウィーン国立歌劇場の音楽監督に東洋人として初めて就任、10(同22)年まで務めた。
昭和59年に恩師、斎藤秀雄を偲んで「サイトウ・キネン・オーケストラ」を組織。平成4年から長野県松本市で音楽祭を続けた。25年の音楽祭で指揮したオペラの録音は、2016(平成28)年に米グラミー賞を受賞した。
また、ボストン交響楽団時代から若手音楽家の指導に情熱を注ぎ、平成12年に「小澤征爾音楽塾」、2005(17)年にはスイスに国際アカデミーを設立。世界で活躍する音楽家を育てた。70歳を超えて、指揮活動を休むことも増えたが、教育活動には最後まで熱心に取り組んだ。
平成20年に文化勲章受章。23年に第23回高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)を受賞した。著書に作家の村上春樹さんとの共著「小澤征爾さんと、音楽について話をする」など多数。長女は作家の征良(せいら)さん、長男は俳優の征悦(ゆきよし)さん。
海外から追悼
指揮者の小澤征爾さんが88歳で亡くなったことを受け、海外メディアは9日、「世界で最も有名な指揮者の1人が死去」(ロイター通信)などと速報で伝えた。
ロイターは小澤さんについて「世界に扉を開き、カラヤンやバーンスタインなどの偉人と仕事をした」とした上で、「彼のふさふさした髪と笑顔は特に米国の聴衆を魅了した」と振り返った。
AP通信は、小澤さんが1973年から2002年まで29年にわたり米ボストン交響楽団の音楽監督を務めたことに言及し、ボストン交響楽団の100年以上の歴史で「他の誰よりも長く指揮者を務めた」と紹介。「(チェロ奏者の)ヨーヨー・マさんら著名な演奏者を引きつけた」とした。
オーストリア通信も、小澤さんが2002年から10年までウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めたことととも速報。小澤さんが02年に日本人で初めてニューイヤーコンサートを指揮したウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は声明で、名誉団員である小澤さんとの活動を「感謝と愛を持って回顧している」と哀悼の意を表した。