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Tanja Jaaskelainen, the Finnish Ambassador to Japan. Minato Ward, Tokyo, June 19. (©Mina Teragouchi)
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北欧フィンランドのタンヤ・ヤースケライネン駐日大使が都内で産経新聞のインタビューに応じ、フィンランド生まれのキャラクター「ムーミン」は自国を日本にアピールするソフトパワーにもなっているとし、キャラクター入りの名刺は相手との会話を弾ませると語った。また、体を清め、精神的な安定をもたらすフィンランドの「サウナ文化」と日本の「温泉文化」に共通点があると指摘した。
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――ムーミンが日本でも愛されている
在日フィンランド大使館の各館員の名刺には、ムーミンの物語に出てくるキャラクターの絵が添えられています。どのキャラクターを選ぶかは館員の自由。私の名刺には、勇敢で独立心旺盛な『リトルミイ』が描かれています。私が毎回、自身の名刺を日本の方々に手渡すたびに、堅苦しい雰囲気が一気に氷解し、会話が弾む。キャラクターの話などでいい雰囲気が生まれ、フィンランドをアピールするきっかけにもなりますね。
各キャラクターの絵を名刺に添えるのは駐日大使館員特有で、ほかの国に赴任するフィンランド人外交官はあまりしません。日本人がいかにムーミンを知っているかの証左です。在日大使館の受付待機所には、ムーミンのぬいぐるみも置いていますよ。
ムーミンは、偉大な『ソフトパワー』といえます。有名なキャラクターをフィンランドが生んだことは幸せなことです。一方、日本もマンガやアニメ分野でよく知られた国ですね。私たちフィンランド人は、こうした文化を通じて日本との絆を感じています。
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――日本人が温泉を愛するように、フィンランド人はサウナを愛している
両国の人々がそれぞれ温泉文化、サウナ文化を愛していることは素敵なことです。サウナはフィンランドで体を清潔にするだけでなく、精神的な安定や平穏を得るための場所。日本でも温泉はそういう場所でしょう。裸になることをためらう欧州人は少なくありませんが、フィンランド人は平気。日本人も裸で温泉に入りますね。フィンランドと日本の類似性を感じます。
フィンランドのサウナには日本のような〝熱波師〟はいません。ただ、束ねた白樺の枝で体をマッサージし、蒸気に漂う爽やかな香りを楽しむなど、似たようなことをしますよ。
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――日本で魅力的と感じる街は?
北は北海道から南は佐賀県まで、これまで27~28都道府県を旅行しました。魅力的と感じる特定の街や都道府県の名を挙げるのは難しいですが、日本はハイキングやスキー、水上レジャーを各地で楽しめる魅力的な国と思います。
――日本食について
日本食は大好き。失望したことはありませんね。フィンランドでも日本食は人気です。ちなみに、日本の地方は梨やスイカなど、産出する品に誇りを持っていると感じます。
――日本の伝統文化をどうみる
細部をとても大切にしていると感じます。美に対する敬意、称賛がある。たとえば、生け花、茶道。そうした伝統を維持しようとする日本文化は素晴らしいと思います。
先日、皇居で雅楽を鑑賞する機会がありました。古代の伝統が今も息付くのを見るのはとても素晴らしい経験となりました。
聞き手:黒沢潤(産経新聞)