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天皇、皇后両陛下は6月9日、ご成婚30年を迎えられた。両陛下は宮内庁を通じて文書で感想を公表し、ご成婚30年を迎えたことに「感慨もひとしお」とご記述。「国民と苦楽を共にする」という皇室の在り方を大切にしつつ、「この国の人々の新たな可能性に心を開き続けていくことができれば」と抱負を示された。
両陛下は文書で、この30年間、阪神大震災や東日本大震災、新型コロナウイルス禍など、自然災害や感染症が社会に大きな影響を与えてきたことをご回想。「今なお様々な困難を抱えている人々の身の上を案じています」とつづられた。
また、世界や社会の変化によって「私たちの務めに対する社会の要請も変わってくる」とご言及。「多くの人々と出会って話を聞き、時には言葉にならない心の声に耳を傾けながら、困難な状況に置かれた人々を始め、様々な状況にある人たちに心を寄せていきたい」との決意を表明された。
一方で、令和3年に成年を迎えられた長女の敬宮(としのみや)愛子さまについては、「愛子が学び、経験する一つ一つのことが、私たちにとっても新たな学びへとつながっていると感じます」との思いを明かされた。
天皇、皇后両陛下が9日のご成婚30年に際し、宮内庁を通じて公表された感想は次の通り。
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今日で結婚30年を迎えると思うと、感慨もひとしおです。30年前、雨の降る中で執り行われた結婚の儀や午後の朝見の儀、多くの方から温かい祝福を頂いたパレードなどを懐かしく思い出します。
この30年間に我が国と世界は大きな変化を経てきましたが、そうした道のりの中で、たくさんの方からの助けを頂きながら、二人で多くのことを経験し、互いに助け合いつつ、喜びを分かち合い、そして時には悲しみを共にし、これまでの歩みを進めてこられたことに深い感謝の念を覚えます。
この間、我が国は、阪神・淡路大震災や東日本大震災を始め、度重なる自然災害に見舞われてきました。また、この3年余りの間には、新型コロナウイルス感染症が社会に大きな影響を与え、世界中の人々が多くの困難に直面してきました。我が国では、新型コロナウイルス感染症の問題が少しずつ落ち着きを見せ、人々が日常の生活を取り戻しつつあることに安堵(ど)しておりますが、同時に、今なお様々な困難を抱えている人々の身の上を案じています。
つい先頃、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県の被災地を訪れましたが、これまでの人々の不断の努力と協力によって復興が着実に進んできていることを目の当たりにし、感慨深く思いました。それとともに、まだ課題も残る中、新しいコミュニティー作りを始め、被災地が今後更に復興していくことを心から願っております。
上皇上皇后両陛下が、常に国民の幸せを願われながら、心を込めてお務めに取り組んでこられたお姿を私たちも拝見してきましたが、そうしたなさりようを心に刻みながら、今後とも国民の幸せを願い、二人で協力しながら務めを果たしていくことができればと考えています。
世界や社会の変化はこれからも続くものであり、そうした変化に応じて私たちの務めに対する社会の要請も変わってくるものと思われますが、そうした中でも、国民と苦楽を共にするという皇室の在り方が大切であるとの考えを今後とも持ち続けていきたいと思います。これからも各地に足を運び、高齢の方や若者たち、社会を支える人や苦労を抱える人など、多くの人々と出会って話を聞き、時には言葉にならない心の声に耳を傾けながら、困難な状況に置かれた人々を始め、様々な状況にある人たちに心を寄せていきたいと思います。そして、そのような取組のうちに、この国の人々の新たな可能性に心を開き続けていくことができればと考えています。
愛子も成年を迎え、少しずつ皇室の一員としての活動を行うようになりました。愛子は、私たちの生活を楽しく和やかなものにしてくれるだけでなく、愛子が学び、経験する一つ一つのことが、私たちにとっても新たな学びへとつながっていると感じます。
この機会に、国民の皆様より寄せていただいている温かいお気持ちに対して、改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
これからの時代が、皆様にとって明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできるものとなるよう心から願っています。