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政府が、ロシアの侵略を受けるウクライナの復興に向け2月に東京都内で開催する「日ウクライナ経済復興推進会議」で示す具体的な支援策が判明した。人道状況の改善や農業の発展など7つの重点分野を設定し、遠隔医療体制の構築に向けた100億円規模の協力を含む20以上の協力文書への署名を目指す。
2月19日に開かれる推進会議には岸田文雄首相やウクライナのシュミハリ首相ら両国の政府当局者のほか、双方の民間企業の関係者ら計約300人が出席する予定だ。
推進会議では「緊急復旧支援」「経済復興・産業高度化」「基盤的環境整備」を3本柱に据え、ウクライナの主軸産業である農業や畜産業の発展、バイオ技術などによる新たなものづくり、デジタルやIT(情報技術)、ICT(情報通信技術)など7つの重点分野で官民挙げての協力を打ち出す。
例えば、昨年9月に当時の林芳正外相のウクライナ訪問に同行した医療ICTベンチャーは、現地に病院がなくても、持ち運び可能な医療機器と遠隔診療を組み合わせて高度な検査・診断ができる仕組みをウクライナに導入する方向だ。別のスタートアップ企業は、3Dプリント技術を使った義足の生産に取り組む。
ダムの決壊により、農地の水不足が懸念されていることから、バイオ分野を手がけるスタートアップ企業は果物の皮などを原料にした吸水性の高いポリマーと呼ばれる素材の現地生産を検討している。デジタルインフラの再構築に取り組む通信プラットフォーム事業者もある。
推進会議は昨年3月、ウクライナを訪問した岸田首相とゼレンスキー大統領の会談がきっかけ。日本では軍事支援に制約があることを踏まえ、首相は昨年5月に立ち上げた準備会議で「日本ならでは」の支援策の検討を指示した。ウクライナ側の要望も踏まえ、投資環境の整備や投資の促進、国際機関との連携など5つのテーマに沿って具体策を検討してきた。