尖閣諸島(沖縄県石垣市)
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防衛省は7月4日、中国海軍とロシア海軍のフリゲート艦各1隻が相次いで尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海外側にある接続水域へ入ったことを明らかにした。領海侵入はなかった。中露艦艇がほぼ同じ時間帯に同諸島接続水域に入るのは平成28年6月以来。外務省は在日中国大使館に重大な懸念を表明した上で抗議した。中国の領有権主張のための軍事活動である可能性もあり、防衛省は両国の意図を分析している。
中国やロシアの海軍艦隊は6月中旬、日本列島を周回するような動きを相次いで見せていた。中国艦隊4隻は対馬海峡から日本海を北上し、二手に分かれて太平洋側へ抜けた後に合流して南下した。ほぼ同じ時期に、ロシア艦隊5隻は北海道沖から太平洋を南下して東シナ海から日本海へ抜けた。日米に対する牽制(けんせい)を狙った中露の共同行動の可能性もあり、海上自衛隊が警戒監視を続けている。
海自は中国海軍のミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻が21日午前3時ごろ、伊豆諸島の海域を西進したことを確認した。この3隻は別の情報収集艦1隻と計4隻で今月12~13日に対馬海峡を北上。日本海で二手に分かれ、駆逐艦2隻が16~17日に宗谷海峡を、補給艦と収集艦の2隻が16日に津軽海峡をそれぞれ通過した後、収集艦以外の3隻が19日午後2時ごろ、宮城・金華山の東約220キロを南進した。
一方、ロシア海軍のフリゲート艦3隻と駆逐艦1隻、ミサイル観測支援艦1隻の計5隻は15日、北海道・襟裳(えりも)岬の南東約280キロで確認され、16~17日には犬吠埼の南東約180キロを南西へ進み、伊豆諸島の海域を南西へ航行。沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過し、21日には東シナ海から日本海へ抜けた。伊豆諸島付近では別の2隻も加わり計7隻となった。
中露の各艦隊は日本列島を周回するように動いた。松野博一官房長官は21日の記者会見で「関連動向について引き続き注視するとともに、警戒監視活動などに万全を期す」と述べた。
日本周辺での中露艦隊の動向をめぐっては、昨年10月、中露計10隻で列島を時計回りに一周する共同行動を取った。途中、中国のミサイル駆逐艦が艦載ヘリコプターの発着艦を実施。露国防省は中国海軍と初の「合同パトロール」を7日間にわたり実施したと発表し、岸信夫防衛相は「わが国への示威活動を意図している」と懸念を示した。
今回は中露艦隊が別々に動いているが、同時期に長距離を航行していることから中露が連携している可能性もある。防衛省は今回の中露の行動の狙いを分析し、動向に警戒を強めている。
筆者:市岡豊大(産経新聞)