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US President Joe Biden. (AP Photo/Evan Vucci, File)

バイデン米大統領(AP)

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バイデン米大統領は9月18日、米テレビ番組で、中国が台湾を軍事侵攻した際は米軍が台湾を守ると明言した。

 

バイデン氏は5月に訪日した際も台湾有事における米軍の軍事的関与を明言するなど、再三、再四にわたって同様の考えを示してきた。

 

一連のバイデン氏の発言に関し、米政府は中国の反発を念頭に、台湾有事の対応で歴代政権がとる「戦略的曖昧さ」を含む台湾政策に「変更はない」と説明するのが常態化している。

 

今回も米政府は同じ立場を示したが、従来と違ったのは、バイデン政権のインド太平洋政策を統括するキャンベル調整官が、バイデン氏の発言は「自明の理だ」と追認し、米軍出動は政権の総意であると中国に突きつけたことだ。

 

中国中央テレビが8月4日に「微信」の公式アカウントに投稿したミサイル発射の映像

 

中国は「米国は『台湾独立』を支持しないという重要な約束に深刻に違反した」と反発し、「強烈な不満」を表明した。

 

だが、歴代米政権が目指すのは台湾海峡の平和と安定だ。中国が軍事力を振りかざし、現状変更を図る暴挙に出なければよいだけの話だ。中国こそ、ペロシ下院議長の訪台を受けて先鋭化させている軍事的威圧をやめるべきだ。

 

中国による台湾への軍事的冒険主義を押さえ込むには、中国の恫喝(どうかつ)に臆することなく、台湾防衛へ有言実行の態度を示し、抑止力を高めていくことが肝要だ。

 

バイデン政権は9月2日、対艦ミサイル「ハープーン」など総額11億ドル(約1500億円)規模に上る武器の台湾への売却を承認した。米国からの武器供与は今年に入り5回目となる。歓迎すべき動きだ。日本も米国と歩調を合わせ、台湾有事への取り組みを強化させるべきだろう。

 

8月17日、台湾東部の花蓮空軍基地で行われた訓練で、戦闘機F16Vへの搭載を待つハープーン対艦ミサイル(手前)=AP

 

一方、米議会では、米台関係の強化に向けた「台湾政策法案」の審議が行われている。法案は、台湾の防衛強化に5年間で65億ドル(約9300億円)を支援するほか、「台湾を北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要な同盟国と同等に扱う」「台湾の国際機関への加盟を支持する」といった内容が盛り込まれている。

 

バイデン政権の内部では、一部の条項が米国の「一つの中国」政策に抵触しかねないとして法案に難色を示す声があるが、バイデン氏には、台湾防衛への強固な意思の証(あかし)として、法案への支持を表明し、成立を後押ししてほしい。

 

 

2022年9月21日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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