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台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)が国連総会の新会期が9月5日に始まるのを前に産経新聞に寄稿し、地球規模の課題の解決や国際社会の平和と安定のため、国連と関連機関への台湾の参加を認めるよう訴えた。詳細は以下の通り。
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冷戦が終結して以来、国連憲章が掲げる国際紛争を平和的に解決する原則によって、ルールに基づく国際秩序と世界平和が維持されてきた。だが、ロシアによるウクライナ侵略はその原則に反し、人権を著しく侵害している。
この戦争がもたらした人道危機と経済的な衝撃は、グローバル時代において危機が国内にとどまらないことを人々に気づかせた。地球規模の安全保障上の脅威は、自国周辺以外の地域でも発生を防がなければならない。とりわけ、民主主義の台湾は中国からの巨大な挑戦に直面している。
台湾を一度も統治したことがない中華人民共和国は、台湾を力で奪い取ることを宣言し、武力行使の放棄を拒否している。台湾は常に冷静沈着に台湾海峡の平和と安定の現状を維持してきたが、中国の経済力と軍事力が強くなるにつれ、北京は台湾に軍事力を見せつけて脅迫するようになり、われわれの民主的な生活様式を脅かしている。
台湾海峡の平和と安定を共に維持していくことは、各国の利益と一致する。この地域でどんな衝突が発生しても、世界経済に災難をもたらすことになる。近年、国際社会では数多くの共同声明で、台湾海峡の平和と安定が地球規模の安全保障に極めて重要であると強調されている。戦争を回避するためには、包容性や対話が必要であり、そして最も重要なのは団結だ。
国連は今も対話の最良のプラットフォームであり、たびたび団結や包容性をもって問題解決に取り組むよう呼びかけている。台湾はその努力に参画する意欲も能力もある。しかし、中国が国連総会第2758号決議(アルバニア決議)の解釈をミスリードし、台湾は国連から排除されたままだ。同決議では、台湾が中華人民共和国の一部だとは言及しておらず、中華人民共和国に国連と関連機関における台湾の人々の代表権を与えたものでもない。
逆に、同決議は誰が「中国」という加盟国を代表するかを確定したに過ぎない。これは1971年に同決議が可決された際、国際社会と中国がいずれも認めた事実である。中国の誤った解釈と国連憲章が堅持する基本的原則は矛盾するもので、必ず正されなければならない。
われわれは国連に対し、国連が掲げる「誰も取り残さない」という原則を堅持し、国連システムへの台湾の参加を認め、地球規模の協力が必要な議論から台湾を排除しないよう呼びかける。もし国連が、台湾の市民や記者の関連会合への出席や取材を許可し、「持続可能な開発目標」(SDGs)に関するメカニズムへの台湾の意義ある参加を認めるなら、それは良い始まりとなるだろう。
国連システムへの台湾の意義ある参加を認めることは、世界が共に対処すべき地球規模の課題の解決に寄与するとともに、世界が脅威に遭遇した際、国連が一致団結して世界平和を守る決意を示す象徴となる。
団結は力なり。今こそ台湾を国連に組み入れるときだ。