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中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域や南シナ海で日本とフィリピンに挑発を重ねている。中国は平和を乱す無法な振る舞いをやめるべきだ。
尖閣周辺の接続水域での今年の中国海警局船の航行日数は過去最多となった。海警局報道官は12月10日、日本の漁船と海上保安庁巡視船が尖閣海域に「不法侵入」したと非難した。中国の海洋調査船は日本の許しを得ずに、尖閣周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に観測ブイ(浮標)を放った。
尖閣は日本固有の領土で、周辺は日本の海だ。侵入者である中国は、尖閣周辺から直ちに去るべきだ。
南シナ海では、セカンド・トーマス礁の比軍拠点へ向かった同国補給船が中国海警局船に放水され航行不能になった。別の補給船は海上民兵が乗る中国船に体当たりされた。中国側は比側の船がぶつかったと反論したが信用することは難しい。
補給のため比軍がいるラワック島などへ向かった同国の民間船は、中国海軍に威嚇されて引き返すしかなかった。
ウィットサン礁付近では、海上民兵が乗る135隻以上の船団が居座っていると比沿岸警備隊が発表した。
中国は南シナ海全域の管轄権を持つと唱え、岩礁を埋め立て人工島に仕上げ、行政区画まで設けた。いずれも国際法違反で認められない。中国の南シナ海支配は7年前のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の裁定で明確に否定されている。
このように、力による一方的な現状変更をねらう中国の脅威に日比両国は直面している。
さらに両国は台湾を挟む位置にあり、台湾有事になれば無縁ではいられない。日比首脳が11月の会談で東・南シナ海の状況への「深刻な懸念」の共有を表明し、安全保障協力を推進しているのは当然だ。同盟を結ぶ米国も加え、3カ国の結束で中国の威圧をはね返したい。
海保は国際法を踏まえた活動を伝授するなど比沿岸警備隊の能力向上に寄与してきた。比沿岸警備隊は今年9月、南シナ海で、中国が設置したブイなどを障害物として撤去した。一方、手本となるべき日本が尖閣周辺海域で中国のブイを放置しているのはおかしい。岸田文雄政権は臆することなくブイを急ぎ排除しなければならない。
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2023年12月17日付産経新聞【主張】を転載しています