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北朝鮮が12月17、18の両日、日本海に向けて弾道ミサイルを発射し、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)の外に着弾した。
18日のミサイルについて韓国大統領府は固体燃料式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみている。
通常より高い角度で打ち上げるロフテッド軌道をとり、最高高度は約6千キロ超に達した。約73分間飛んで北海道・奥尻島西方約250キロの海域に落下した。三宅伸吾防衛政務官は「弾頭重量などによっては1万5千キロを超える射程となり得る」と語った。米全土を攻撃範囲に含むということだ。
北朝鮮がICBMを発射したのは7月12日以来だ。政府は国家安全保障会議(NSC)を開き対応を協議した。岸田文雄首相が「明白な国連安全保障理事会決議違反であるのみならず、地域の平和と安定を脅かすもので強く非難する」と述べたのは当然だ。北朝鮮は核・ミサイル戦力を直ちに放棄すべきだ。
今回のICBMは固体燃料式だったという。液体燃料式のミサイルと異なり、速やかに発射できるため奇襲的な運用が可能で脅威の度合いが強まる。
日米韓3カ国は今回の発射の兆候をつかみ、海や空で情報収集と警戒を強めていた。今後も事前対処の態勢をとってもらいたい。日米韓が12月中に、北朝鮮が発射するミサイル情報を即時共有するシステムの運用を始めるのはもっともだ。
米韓両国は15日にワシントンで米核戦力の運用に関する「核協議グループ」(NCG)の第2回会合を開いた。韓国の尹錫悦政権は、米国の「核の傘」を柱とする拡大抑止を背景に、北朝鮮が核使用に踏み切れば金正恩政権に終末が訪れると指摘してきた。
北朝鮮は、米韓の動きに反発している。だが、国連安保理決議を無視してミサイル発射を繰り返す北朝鮮を前に、米韓が拡大抑止の強化を図るのは当たり前だ。
日本も防衛態勢を強化していく必要性が改めて示されたといえる。防衛省が米国製の巡航ミサイル「トマホーク」に加え、国産の新型長射程ミサイルの配備を計画よりも1年前倒しして令和7年度からにしたことは評価できる。日本も米国の「核の傘」や自衛隊の反撃能力の充実で拡大抑止を整えるべきだ。
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2023年12月19日付産経新聞【主張】を転載しています