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大学入学共通テストが1月13、14日に全国の会場で行われ、入試シーズンが本格化した。だが、能登半島地震の被災地では、受験生らが厳しい環境に置かれている。勉強に集中できず、入試どころではないという声も聞く。
被災したため今春の進学を諦めたり、希望する進学先を受験できなくなるような状況をつくってはならない。
受験生が力を発揮できるよう、政府や自治体は交通・宿泊手段を含めた手厚い支援を講じるべきである。
大学側にも出願期間の延長など柔軟な対応を求めたい。
文部科学省は共通テストについて、被災地の受験生が13、14日の本試験を受けずに27、28日の追試験に回ることを認める救済措置を講じた。追試験の会場も東京外国語大(東京都)と京都工芸繊維大(京都市)の2カ所に加え、金沢大(金沢市)に設置することにした。
もちろん、これだけでは万全ではあるまい。
例えば道路の寸断で会場に行くこと自体が困難なケースもあろう。各自治体は、受験のため被災地から離れて宿泊できるよう対策に努めているが、その情報が十分に伝わっていない恐れはないか。
地域ごとに利用できる交通機関や所要時間、支援策などの情報を避難所での掲示やインターネットなどで丁寧に発信すべきである。
被災地では受験勉強がなかなか手につかない。政府は被災地外の2次避難所を大幅に増やす方向で調整している。受験生やその家族が積極的に利用できるようにしてもらいたい。
平成7年、大学入試センター試験(当時)の2日後に発生した阪神大震災では、多くの大学が一般入試後に被災地の受験生を再募集し、3月下旬以降に特別入試を実施した。
今回も、多くの大学がこうした救済措置をとるよう望みたい。受験料や入学金の減免なども積極的に検討してほしい。
受験生に限らず、被災地では多くの小中高校に被害が出た。特に石川県では断水や停電などで授業が再開できない学校もある。教科書などを失った児童生徒もいるだろう。
各教育委員会と学校は緊密に連携し、被災地の子供たちの学びの時間を全力で確保すべきである。
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2023年1月12日付産経新聞【主張】を転載しています