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トヨタ自動車グループで、またも国の認証試験に関する不正が発覚した。今度はグループの源流企業、豊田佐吉翁が創業した豊田自動織機である。
同社の自動車用ディーゼルエンジン3機種の排ガス性能試験で不正が見つかり、このエンジンを積んだトヨタの「ランドクルーザー」など10車種が出荷停止となった。
日野自動車、ダイハツ工業に続くトヨタ傘下企業による不正だ。グループ全体で順法意識が欠如しているのではないか。極めて深刻な事態である。
抜本的にグループのガバナンス(企業統治)を立て直さなければ、不正の連鎖は断ち切れないと認識すべきだ。
豊田自動織機の不正はもともと昨年3月にフォークリフト用エンジンで発覚した。この問題を調べた特別調査委員会が自動車用エンジンにも不正があることを見つけた。出力試験の際に燃料噴射量を調整して性能が良くなるように見せたという。
日野、ダイハツを含む3社の調査報告書からは不正に至った理由に共通点がうかがえる。
例えば無理な開発日程や認証試験関連の人員不足だ。トヨタグループの生産・販売が拡大する過程で、開発現場の負荷が増していった状況が浮かぶ。問題が生じても、上司に意見を言えない企業風土があったとされることも3社に共通する。
トヨタは昨年、ダイハツ、日野を含めた世界販売台数で4年連続の首位となった。
世界中のユーザーにトヨタ車が受け入れられてきた大きな要因は、商品の信頼性に対する高い評価だったはずである。グループで不正が相次ぐ根本的な原因を正さない限り、トヨタ本体の信用失墜も避けられまい。
日野のエンジン不正が明らかになったのは令和4年3月である。グループ内でいまなお不正が相次いでいるのは、この間のトヨタの対応が不十分だったことを物語るのではないか。
トヨタの豊田章男会長は1月30日の記者会見で、相次ぐ不正について謝罪した。さらにグループの責任者として「変革をリードする」とも述べた。
だが、そのための具体策への言及が乏しかったのはどうしたことか。これでは変革の実現性が疑われても仕方あるまい。不正の根絶に向けたトップの覚悟が厳しく問われている。
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2024年2月2日付産経新聞【主張】を転載しています