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将棋の藤井聡太八冠(21)=棋聖・竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将=が2月7、8日に行われた第73期王将戦七番勝負(主催・毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)の第4局で、タイトル戦20連覇の新記録を打ち立てた。昨年の八大タイトル独占に続く金字塔。〝令和の絶対王者〟の勢いは止まらない。
8日夕、振り飛車党の菅井竜也八段(31)が「負けました」と頭を下げ、藤井八冠の王将戦3連覇が決まった。
挑戦者の菅井八段は昨年の叡王戦で藤井八冠を苦しめた相手。接戦も予想されたが、結果は藤井八冠の完勝だった。ある中堅棋士は「菅井さんとは叡王戦、順位戦A級で対戦してきた。振り飛車にも慣れてきたのだろう。王将戦は持ち時間が長い2日制で、藤井さんも長く考えることができた」と話し、藤井八冠の研究や準備が奏功したとの見方を示した。
大山康晴十五世名人が過去に記録したタイトル19連覇にはフルセットがいくつもあったが、藤井八冠は令和3年の叡王戦1局のみ。ここにも底力の強さがうかがえる。
敗れた菅井八段は「ミスが多過ぎた。振り飛車の工夫をするとか、戦い方を変えるとか、大きな変化が必要だ」と、悔しさを隠し切れない様子。
今年、最初の防衛戦を終えた藤井八冠は「(本局は)馬と銀を繰り出して少しずつ指しやすくなった。(20連覇について)そのことは意識していなかった。棋王戦も開幕しているので、そういうことは意識せず、引き続き前を向いてやっていきたい」と話した。
ただ、藤井八冠は10日、東京都千代田区で指された将棋の第17回朝日杯オープン戦本戦トーナメント決勝で永瀬拓矢九段(31)に敗れ、2年連続5回目の優勝を逃した。永瀬九段は同棋戦初優勝。
対局を終えた藤井八冠は「際どいかなと思っていたが、最後に崩れたので残念です」と感想を述べた。