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イスラエルへ大規模な奇襲攻撃を仕掛けたイスラム原理主義組織ハマスのハニヤ最高指導者が訪問先のイランで殺害された。
イスラエルは暗殺を認めていないが、ハマスやハマスの後ろ盾であるイランは、イスラエルの仕業として報復を宣言した。
ハニヤ氏はカタールを拠点としていたが、イラン新大統領の就任式に出席するためイランの首都テヘランを訪れていた。
イランの最高指導者ハメネイ師は「彼(ハニヤ氏)の血に報いることがわれわれの義務だ」と述べた。
レバノンの親イラン勢力ヒズボラの最高幹部もイスラエルの攻撃で殺害された。また、イスラエル軍は7月の攻撃により、ハマス軍事部門トップの死亡を確認したと発表した。イランや中東各国の親イラン武装組織が、イスラエルへの報復を強めるのは必至とみられる。
イスラエルがハニヤ氏を殺害したのであれば、昨年10月の大規模な奇襲テロ攻撃の責任を取らせるつもりがあったと思われる。ハマスを交渉相手ではなく殲滅(せんめつ)すべきテロ組織とみているということだろう。
イスラエルとイラン、親イランの武装勢力との戦いは激しさを増していくに違いない。
4月のイランによるミサイル攻撃の際もそうだったが、事態がエスカレートして「第5次中東戦争」に発展することは何としても避けたい。
大規模戦争にならずとも、激しい衝突が続けば、日本を含む世界が多大な影響を受ける。日本は中東地域に原油輸入の9割超を依存している。
日本や世界のエネルギー安全保障にとっても、経済情勢にとっても、さらには現地邦人の安全にとっても看過できない事態になる恐れはある。
岸田文雄政権は事態の展開に応じて、国家安全保障会議(NSC)を開いたり、邦人救出の備えを点検したりすることを怠ってはならない。日本企業も危機管理の対応が欠かせない。
イラン外務省はイスラエルの後ろ盾である米国にも責任があると指弾したが、無益な八つ当たりはやめ、事態のエスカレートを避けるべきである。
日本は欧米諸国や国連とともに、イスラエル、イラン双方に自制を促す働きかけをしてもらいたい。
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2024年8月2日付産経新聞【主張】を転載しています